頑張る栄養くん!~ミネラル 鉄(Fe)編)~

見えないところでも頑張ってくれている栄養!今回は鉄編!

鉄(Fe)

鉄は60~70%は血液に、残りは肝臓や骨髄、筋肉などに存在します。血液が体のすみずみまで酸素を運搬したり、筋肉が収縮したり、コラーゲンを合成したりするのを助ける働きがあります。
鉄不足は貧血を招くうえ、筋力低下の原因にもなります。

酸素を運搬する

体内でエネルギーを産み出すには、ほとんどの場合酸素が必要です。酸素と結びついて、体内のあらゆるところに酸素を運ぶ役割をするのが、血液の赤い色素成分であるヘモグロビンです。鉄はヘモグロビンの材料となっているため、鉄が不足すると、血液中のヘモグロビンの量や、赤血球の数が減ってしまいます。これを鉄欠乏性貧血といいます。貧血になると、体内に十分な酸素を送れなくなるため、産み出せるエネルギーの量が低下し、集中力低下や頭痛、めまい、倦怠感といった症状が表れます。

筋肉を収縮させる

鉄は、筋肉の赤い色素成分であるミオグロビンの材料でもあります。ミオグロビンが血液中の酸素を細胞内に取り込むことによって、筋肉が収縮します。鉄が不足すると酸素をうまく取り込めず、筋力低下や疲労感といった症状が表れます。

体内のさまざまな代謝にかかわる

鉄はいろいろな酵素を活性化したり、酵素の構成成分になったりして、エネルギー産生、神経伝達、コラーゲンの合成などにかかわっています。

貯蔵鉄として貯蔵される

使われなかった鉄は貯蔵鉄であるフェリチンに変えられ、蓄えられます。体内の鉄が足りなくなると、フェリチンが分解されてヘモグロビンやミオグロビンの材料になります。そのため一時的な鉄不足があっても、すぐにその兆候が出ることはありません。しかし不足状態が長く続くとやがて貯蔵鉄も枯渇し、貧血やその他の欠乏症状が表れます。

欠乏症・過剰症は?

鉄の欠乏症

鉄不足は、世界的に多くみられる欠乏症です。
成長期の子どもや妊娠中の女性は、鉄の必要量が増加します。女性の月経、特に月経過多の場合や、子宮筋腫や痔、胃・十二指腸潰瘍、胃ガンなどで出血を伴う場合も不足しやすくなります。
男性や閉経後の女性の場合は、あまり鉄が欠乏することはありません。
そのほか、食事中に含まれる鉄の量が少ない場合や食事量自体が少ない場合は、食品からの鉄摂取が不足することがあります。

鉄の不足によって起こる代表的な欠乏症は、貧血です。貧血の90%は鉄が欠乏することが原因で起こります。貧血は、血液中に含まれる血色素 (ヘモグロビン)量が減少して血液が酸素を十分に運ぶことができず、体が酸素不足になることで、頭痛、めまい、倦怠感、動悸、息切れ、食欲不振、疲れやすくなるといった症状が起こります。
体内で酸素を運ぶ働きをしている鉄を機能鉄と呼びますが、機能鉄が不足すると貯蔵鉄が血液中に放出され、不足分を補います。貧血は、貯蔵鉄までもが底をついて初めて起こるのです。つまり、鉄欠乏性貧血の症状が見られた時にはすでに貯蔵鉄が枯渇し、血液中の鉄も減少している状態であるといえます。
機能鉄が不足している貧血予備軍の場合は、何の症状もないため気づかないことも多くありますが、月経前後に体調が悪くなったり妊娠時に貧血になりやすい状態となっています。
貧血は、運動選手にも起こりやすい症状です。ジャンプを繰り返す運動をすると、その衝撃によって赤血球が壊れたり、マラソンなど では大量に汗をかき、消化管の出血も起こるため鉄を喪失します。貧血になると、運動能力も低下するため、しっかりと栄養の摂れる食事をすることが大切で す。
妊娠時は、月経による鉄の損失はなくなりますが、胎児のために鉄が使われるため、鉄の必要量が増えて貧血になりやすくなります。
鉄欠乏貧血は、鉄を補うことによって改善します。しかし、貧血の症状が起こらなくなっても、貯蔵鉄を十分に満たすには時間がかかるため、鉄の補給を続けることが必要です。また、貧血の再発を防ぐためには鉄が欠乏した原因を明らかにしておくことも必要です。

そのほか、鉄不足によって運動機能や認知機能が低下したり、体温を正常に保てなくなり、免疫機能が低下するといった症状が見られます。子どもの場合は、豊かな感情や集中力、学習能力の低下、イライラが起こるといわれています。

鉄の過剰症

鉄は体内での吸収率が低く、必要以上に吸収されない仕組みもあるため、通常の食事をしていて摂り過ぎることはありません。
しかし、薬やサプリメントなどで、鉄を長期間過剰に摂り続けていると、肝臓に障害が起こって鉄沈着が起きたり、肝硬変や肝ガンにつながることもあります。
また、遺伝的に鉄が体内に蓄積しやすい人もいます。
鉄の過剰症は、嘔吐や便秘などの胃腸障害、不整脈、心筋障害、亜鉛の吸収阻害などの症状が起こります。

鉄の効果

貧血を予防する効果

●貧血を予防する効果
体内の鉄の約3分の2が血液中で赤血球のヘモグロビンの構成成分となり、肺で取り込んだ酸素を全身の細胞や組織に運ぶ重要な役割をしています。
また、筋肉中のミオグロビンというたんぱく質の構成成分として、血液中の酸素を筋肉に取り込む働きもあります。
鉄は血液中ではトランスフェリン [※5]と結合して、骨髄・肝臓などの臓器へ運ばれ貯蔵されます。貯蔵された鉄は、機能鉄が不足すると血液中に放出され、機能鉄として酸素を運ぶ働きをします。
酸素が不足すると、細胞は様々な代謝をスムーズに行うことができず、疲れやすくなったり免疫力が低下し、貧血が起こります。
このため、鉄は貧血を予防するために非常に重要な栄養素です。

疲労回復効果

鉄は細胞に酸素と栄養を届けるヘモグロビンに大切なミネラルです。特に運動時には、通常時よりも多くの酸素を必要となります。また鉄を摂取すると、運動時の乳酸の上昇を抑制するはたらきも報告されており、鉄が運動疲労の回復や持久力維持に役立つと期待されています。

鉄分の多い食品

鉄分の多い食品

豚肉(レバー) 13.0
ほや 5.7 かも 4.3
のりのつくだ煮 3.6
あおのり(乾) 74.8
鶏肉(レバー) 9.0
あゆ(焼) 5.5
米みそ/赤 4.3
コンビーフ缶 3.5
ひじき(乾) 55.0
レバーペースト 7.7
しじみ 5.3
油揚げ 4.2
豚肉(はつ) 3.5
きくらげ(乾) 35.2
パセリ 7.5
鶏肉(はつ) 5.1
米みそ/白 4.0
いがい 3.5
あさりの佃煮 18.8
はまぐりの佃煮 7.2
あかがい 5.0
牛肉(レバー) 4.0
米みそ/甘みそ 3.4
煮干し 18.0
牛肉(センマイ) 6.8
うなぎの肝 4.6
あさり 3.8
つまみ菜(生) 3.3
抹茶(粉) 17.0
豆みそ 6.8
いわし(丸干) 4.4
ゆば(生) 3.6
納豆 3.3
干しえび 15.1
たまごの卵黄 6.0
ほっき貝 4.4
がんもどき 3.6
みる貝 3.3
ピュアココア(粉) 14.0

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