頑張る栄養くん!~ビタミン ビタミンB₆~動脈硬化予防にも!

見えないところでも栄養は頑張ってくれています!今回はビタミンB₆編です! 糖尿病と関わりの深い動脈硬化。 動脈硬化予防のために活躍してくれるビタミンでもあります。

ビタミンB₆ってなに?

ビタミンB6は、たんぱく質、脂質、炭水化物の代謝や、神経の機能を正常に保つのに必要とされます。水に溶けやすく、光や熱によって壊れやすい性質があります。不足すると肌荒れや口内炎、けいれんといった症状や、動脈硬化の原因になります。腸内細菌でも一部合成されますが、その量はごく微量です。

たんぱく質の代謝を助ける

私たちが食べ物から摂ったたんぱく質や脂質、炭水化物を利用するには、これらをエネルギーや身体の成分といった人間に必要な形に作り変える、「代謝」を行なわなければなりません。ビタミンB6は、たんぱく質、脂質、炭水化物の代謝すべてにかかわっていますが、中でも筋肉、血液、ホルモン、免疫にかかわる抗体などの材料になるたんぱく質の合成を促す働きと、たんぱく質の成分であるアミノ酸の合成を促す働きがとくに重要です。ビタミンB6の不足は、肌荒れ、口内炎、貧血、下痢などの原因になります。とくに妊娠中は、胎児のためにもビタミンB6をしっかり摂らなくてはいけません。

脂質・炭水化物の代謝を助ける

ビタミンB6はたんぱく質だけでなく、脂質や炭水化物の代謝にも関与します。脂質の代謝によってエネルギー産生のほか、コレステロール、脂肪酸といった細胞膜の成分が作りだされるため、不足すると皮膚や粘膜が荒れ、肌荒れや口内炎などの原因になります。

神経の機能を正常に保つ

ビタミンB6は、神経細胞間で情報を伝える神経伝達物質の合成に必要です。そのため不足は手足のしびれやけいれん、つわりの悪化などの原因になります。また短気やうつ、月経前症候群など、精神的な不調を引き起こすことがあります。

動脈硬化を予防する

ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12などが不足すると、血液中のホモシステインという物質が増えます。このような状態では動脈硬化や、脳の病気であるアルツハイマー病になる危険が高まるといわれています。さらに動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす原因になります。ビタミンB6は葉酸やビタミンB12より不足しやすい傾向があるため、注意が必要です。

ナイアシン不足を予防する

ビタミンB6は、アミノ酸のトリプトファンからビタミンB群の一種ナイアシンを合成するのを助け、ナイアシン不足を予防します。

欠乏症・過剰症は?

ビタミンB6の欠乏症

ビタミンB6は食品から摂る以外に腸内細菌からもつくられるため、欠乏症が起こることはほとんどありませんが、妊娠中や、ピル (経口避妊薬)を飲み続けている時は、ホルモンの関係でビタミンB6の必要量が増加し、不足しやすくなります。
また、抗生物質を長期間服用していると、腸内細菌のバランスが崩れることによって、ビタミンB6を合成する働きが低下しビタミンB6の欠乏症が起こることがあります。
ビタミンB6が欠乏すると、様々な代謝異常が起こり、特に皮膚と粘膜にトラブルが起きやすくなります。症状としては、舌炎、口内炎、口角炎、結膜炎や、目・鼻・耳などに脂漏性皮膚炎 [※4]などが見られます。
また、神経に異常が出て、末梢神経障害、けいれん、手足のしびれ、眠気、不眠症、食欲不振、倦怠感、情緒不安定、中枢神経の異常などが起こることがあります。
ビタミンB6は、血液中で鉄を運ぶヘモグロビンという物質を合成する時にも必要な栄養素なので、不足すると貧血が起こることもあります。

ビタミンB6の過剰症

食品から摂る場合には、体内で余分なビタミンB6は排泄されるため過剰症の心配はありませんが、ビタミン剤やサプリメントによって1日200~500 mgの大量摂取を続けると、腎臓結石ができたり、感覚神経障害がみられることがあります。これは、感覚情報を伝える神経が正常に働かなくなることで、手足にしびれや痛みなどがみられたり、様々な感覚を正常に認識できなくなるものです。このため、日本人の食事摂取基準には耐容上限量 が設けられています。

ビタミンB₆の効果

脂肪肝を予防する効果

ビタミンB6は脂質の代謝をサポートし、肝臓への脂質の蓄積を防ぎ、脂肪肝を予防する効果があります。
お酒をたくさん飲む人は、肝臓に脂肪が蓄積しやすく脂肪肝になることがあります。放っておくと、脂肪肝が進行して肝硬変になり、やがて肝臓ガンにいたる危険性もあります。
このような効果を持つビタミンB6は、ビタミンB2やリンとともに脂肪肝の治療にも使われています。

動脈硬化を予防する効果

ビタミンB6 はビタミンB12、葉酸とともに摂取することで、動脈硬化の一因となるホモシステインを抑制する効果が報告されています。その他に、コレステロール低下効果も報告されており、動脈硬化予防に期待されています。

神経機能を正常に保つ効果

ビタミンB6が不足すると、アミノ酸の代謝が悪くなり神経伝達物質が不足し、神経系統に支障をきたします。知性の発達の遅れや、アルツハイマー病の原因にもなります。

アレルギー症状を緩和する効果

最近の研究では、ビタミンB6を摂ることで免疫のバランスを正常な状態にし、アレルギー症状を緩和することがわかってきました。小児ぜんそくの発作を防ぐなど、免疫力を向上するともいわれています。
体内では異物が入ってくると、抗体をつくって異物を攻撃し、自身の体を守ろうとします。アレルギー症状は、免疫システムが過剰に反応し、抗体が異物だけでなく体に対しても様々な作用をもたらすことによって起こります。
ビタミンB6は、免疫機能を正常に維持することによって、アレルギー症状を緩和する効果があります。
アレルギーは治りにくく、原因は様々なのでビタミンB6の摂取だけで治るわけではありませんが、症状が軽減される人もいます。

月経前症候群 (PMS)の症状を緩和する効果

ビタミンB6は、女性ホルモンのひとつ、エストロゲンの代謝に関わり、ホルモンのバランスを整える働きがあります。この働きにより、ビタミンB6はホルモンバランスの崩れが原因のひとつである、月経前症候群 (PMS)の症状をやわらげる効果があります。
女性の体では生理周期によって、多く分泌されるホルモンの種類が入れ替わりますが、この入れ替わりがうまくいかないと月経前症候群 (PMS)となり、憂うつ、イライラ、肩こり、頭痛、腰痛、全身のだるさなどの様々な不快症状が起こります。

つわりの症状を緩和する効果

ビタミンB6は妊娠初期のつわりにも効果があります。妊娠すると、アミノ酸の一種であるトリプトファンの代謝がうまくいかず、キサンツレン酸という物質が通常よりも増加してつわりの原因になるといわれています。この時、代謝がうまくいかない原因のひとつがビタミンB6の不足であるため、アミノ酸の代謝を正常にするビタミンB6を積極的に摂ることで、つわりの症状を軽くする効果が期待できます。
ビタミンB6は脳神経の発達にも重要で、赤ちゃんのためにも積極的に摂りたいビタミンです。
ピル (経口避妊薬)を服用している場合も、ビタミンB6の必要量が高まります。ピルに含まれているエストロゲンは、アミノ酸であるトリプトファンのニコチン酸 (ナイアシン)への代謝を促す作用があります。そのため、ピルを服用してエストロゲンの濃度が高まると、アミノ酸の代謝が活発に行われるためビタミンB6の体内での需要が高まります。

どれくらいとったらいいですか

 ビタミンB6が不足すると湿しんなどの皮ふ炎や口内炎、貧血、脳波の異常などがおこります。ビタミンB6は腸内細菌によってもつくられることから、一般的には不足しにくいのですが、抗生剤を長期間飲んでいる人では不足することがあります。また、最近、生理前に憂うつな症状のでる月経前症候群の人では、体内でビタミンB6不足がみられたという報告もあります。
 一方、通常の食生活ではとり過ぎになる心配はほとんどありません。ただし、ビタミンB6作用をする数種の物質のうちピリドキシンのみを長期に大量摂取した場合は感覚神経に障害がみられたという報告があります。薬やサプリメントで摂取する場合は適切なご利用方法をこころがけてください。

どんな食品に多く含まれていますか

ビタミンB6はこんな食品に含まれています
○肉類:レバー
○魚介類:さんま、まぐろ、かつお
○豆類:大豆製品、ピスタチオ
○その他:卵、にんにく、バナナなど

こんな方におすすめ
○丈夫な体をつくりたい方
○肝臓の健康を保ちたい方
○アレルギー症状を緩和したい方
○動脈硬化を予防したい方
○月経前症候群を予防したい方
○経口避妊薬 (ピル)を常用している方

効率よく摂るには

ほかのビタミンB群と組み合わせる
ビタミンB群は相互に補い合って働くため、ほかのビタミンB群の多い食品とともに摂ったほうが効果的です。

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