2023年12月29日

皮膚がかゆい?!糖尿病と皮膚の密接な関係

糖尿病の3大合併症はよく知られていますが、このほかにも皮膚に関係する病気がいくつもあります。糖尿病と皮膚の密接な関係をよく理解して、皮膚のトラブルを回避しましょう。

糖尿病による皮膚や手足の「かゆみ」。主な症状とスキンケアとは?

https://blue-circle.jp/articles/232

糖尿病になると皮膚のかゆみが出てくる時があります。なぜでしょうか?
高血糖が続くと免疫力が低下し、合併症を起こしやすく末梢神経・循環の機能障害から、皮膚トラブルも起こしやすくなってしまいます。
糖尿病と皮膚の関係を知り、正しいスキンケアを身につけて、かゆみ等の皮膚トラブルを未然に防ぐことが大切です。

糖尿病と皮膚の密接な関係!

糖尿病というと、インスリンの分泌低下、高血糖などいくつかの単語が頭に浮かびます。
また合併症として腎臓、網膜、神経に支障を来たすということもご承知の方が多いと思います。しかし糖尿病にはもう一つ隠れた合併症があります。

それは皮膚に悪影響を及ぼすということです。
高血糖は全身に、かつ奥の奥まで被害を及ぼします。この理由は免疫力の低下と血行不良を起こしてしまうことです。

ジュースを想像してみましょう。
ジュースの液体が血液、その中の果汁が糖と想定すれば、果汁の多いジュースはドロドロとした粘度の高い液体になります。その状態では流れも遅くなりますね。

また糖の分解で生じる悪い物質を処理するのが白血球とすれば、あまりにも多くて白血球の生成が追いつかなくなります。細胞に栄養分が行きわたらなければ免疫機能をはじめとするすべての機能が低下してしまいます。

こういった原理の下で易感染、治癒力低下、新陳代謝力低下に対しては、一番敏感な皮膚に疾患が現れます。

糖尿病に関わる皮膚疾患はこんなにも多い!

皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)

糖尿病に罹患してない私たちでも、皮膚の水分が多い少ない、熱い寒いなどの変化によって皮膚のかゆみは生じます。
糖尿病の人は、血行が悪い状態が常時続きます。高血糖によっては細胞内に水分が行きわたらずに脱水状態ですので、ますます痒みは悪化するというわけです。

皮膚感染症

免疫力とは、外部から菌やウイルス、そのほかの異常な物質が体内に入ったとわかった瞬間から敵とみなして白血球たちがその成分と闘い始めます。しかし、高血糖においては血液ドロドロのなかをスムーズに移動できず、細胞の栄養が足りずに戦う能力も低下してしまいます。
そういったことで体内に水虫などの菌が入りやすくなります。
また、傷をつくってしまうと治りづらくなるのが致命的となります。

糖尿病性潮紅(とうにょうびょうせいちょうこう)

糖尿病の初期の段階に見られます。高血糖により毛細血管が機能しなくなって顔が赤ら顔になることです。
顔ばかりではなく、手の平、足の裏、手足の指などにも見られます。

糖尿病性水泡(とうにょうびょうせいすいほう)

微小血管の支障が原因と言われています。なんの接触も無く火傷で見られるような水ぶくれが生じます。中には血性のものありますが痛みなどはありません。足に発生することが多い病気です。

糖尿病性浮腫性硬化症(とうにょうびょうせいふしゅこうかしょう)

原因としてインシュリンの吸収が悪い人に生じやすいことまではわかっています。
背中に固い隆起物が発生し皮膚の変色もなく発見されづらい皮膚疾患の一つです。

色素性痒疹 (しきそせいそうよう)

背中や鎖骨部、胸部に見られることが多く、赤く隆起している湿疹です。
痒みが強く、症状が治まった後には色素沈着することが多く、繰り返すという特徴を持っています。
原因の詳細は明らかではありませんが、ケトン体の関与が一つの誘因ではないかと言われています。

前脛骨部色素斑(ぜんけいこつぶしきそはん)

高血糖による微小血管の支障が原因だろうと言われています。
足のすねに茶色っぽい小班ができます。

糖尿病性リポイド類壊死症(えししょう)

両方の足のすねに生じます。円形で真ん中は陥没した黄色から褐色、そのふちは毛細血管が拡張し、紫がかった色の班状のものです。滑らかな表面ですが、時間が経過すると潰瘍に伸展することがあります。
この症状が現れるのは女性の方が圧倒的に多く、また20~40代と比較的若い世代に発症します。

糖尿病性潰瘍・壊疽(とうにょうびょうせいかいよう・えそ)

糖尿病により血液の流れが悪くなります。心臓には血液を送り出すポンプがありますが、手や足など心臓から遠い場所には特に血液が送りにくく、細い血管も多く分布しています。
血液のダメージがスタートするのは暗黙的に手足です。中でも足は特に遠くに位置し、
小さな傷と血行不良が重なって潰瘍、それに感染が重なって壊疽となります。

もう一つ閉塞性動脈硬化症(ASO)という病気があります。
これは動脈という大きな血管が閉塞してしまう病気です。血行不良も原因の一つですが、動脈硬化が原因で起こります。糖尿病が原因で閉塞性動脈硬化症が多く見られます。
動脈が閉塞してしまったら足は壊死、感染が重なって壊疽となります。

糖尿病の皮膚はしっかりした管理が必要!

①皮膚の観察です。とくに知覚が鈍くなっている人は足を重点的に傷や変色はないか確認しましょう。

②いつも清潔を保ちましょう。衣類などもきれいなものを身につけるようにしてください。

③皮膚を傷つけないように再三の注意をはらいましょう。

④皮膚の乾燥にはスキンローションなどを使用しながら、乾燥により皮膚が割れるなどの症状を予防しましょう。

⑤指の間などはジメジメした状態にしないように、風呂上りはしっかり拭き取る。靴や靴下が濡れてしまったら乾いたものと交換し、靴は日干しなどするといいでしょう。

こまめな注意と早期対処!

糖尿病から皮膚にどのような影響を与えるのか?軽く考えることが皮膚の病気を引き起こすことの第一歩です。
皮膚は小さなトラブルから末の果てには壊死などという生命にかかわる部分まで進行してしまいます。
観察とケア、そして傷ができた時は速やかに専門医の診察を受けましょう。

皮膚に対しては日頃から観察とケアをすることを念頭に置きながら、血糖のコントロールを十分に行っていくことが重要です。
食事!運動!ストレス解消!この三つが糖尿病治療の基本です。
しっかり守って合併症を起こさない生活を送りましょう。

糖尿病で皮膚にはどんな影響が?気になる5大症状

https://blue-circle.jp/articles/233

糖尿病を発症すると体にさまざまな症状が出てきます。
皮膚もその一つ。一般的に、糖尿病患者さんの約3割に何らかの皮膚病変が見られると言われています。

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