2024年2月20日

糖尿病と生理(月経)。切り離せないネックな関係

糖尿病を患っている女性では、月経異常や不妊症になりやすいという結果がでています。 どういった関係があるのかわからなく不安に思う人もいるでしょう。ここでは、女性ホルモンから、糖尿病と生理のつながりをしっかりお伝えいたします。

生理(月経)の基礎を知りましょう

月経周期と女性ホルモンの働き

女性ホルモンは、赤ちゃんを作る、育てる、産むためのものですが、まずは月経を起こすことが一番の役割です。
女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンと二種類あり、エストロゲンは黄体ホルモンとも呼ばれ、月経から排卵までに多く分泌されるのに対して、プロゲステロンは黄体ホルモンといい排卵後から月経前までに多く分泌されます。

二つのホルモンの働きとしてエストロゲンは、子宮内膜を厚くして受精卵が子宮にしっかり落ち着くように準備します。プロゲステロンは、子宮内膜を柔らかくするとともに妊娠の維持に力を発揮するホルモンです。またPMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)症状は、このプロゲステロンの分泌が多い時期に出ることになります。

妊娠が確定されなければ二つのホルモンは減少し、月経という子宮内膜が剥がれ排泄される日が来るシステムです。人によって月経から月経までの時間(周期)は異なりますが、
25~38日を基準値とされています。

月経異常とは

●月経周期の異常
25~38日の範囲から外れたもので、期間が長すぎると「稀発月経」、期間が短すぎると「頻発月経」、3か月以上止まってしまうと「無月経」となります。

●月経血量の異常
出血量が多ければ「過多月経」、少なすぎると「過少月経」となります。

●一回の月経持続期間の異常
通常は3日~7日以内。これよりも長く続くのならば「過長月経」と呼ばれます。
月経本来の出血ではなく、不正出血であったり、無排卵による月経であることが多いです。

●月経に伴った症状の異常
吐き気や腹痛などが強すぎて通常の生活が困難な状態です。

●初潮や閉経が起きる時期の異常
初潮が安定しない、閉経が30代で生じた状態です。

糖尿病と月経異常は密接な関係

女性ホルモンとインスリン分泌のメカニズム

女性ホルモンは女性特有の身体症状にだけ関わっているように思われますが、実は糖尿病の決め手となるインスリンにもしっかり関わっているのです。

血液内に糖質が注ぎ込まれると膵臓はインスリンを分泌し細胞にその糖分を与える役目を果たします。つまり細胞というドアをオープンする役割です。
しかし、このドアが故障したり錆びついたりと抵抗が強い場合はどうなるのでしょう。
インスリンの役割が100%充足されません。

この仕組みを「インスリンの抵抗性」といいます。インスリンの力をスムーズに借りようとすることを「インスリンの抵抗性が低い」、かたくなにインスリンの手を拒むことを「インスリンの抵抗性が高い」といいます。

実は、月経から排卵までに増加するエストロゲンは、このインスリンの抵抗を低くして、排卵から生理前に多く分泌するプロゲステロンが、インスリンの抵抗性を高くするのです。

この性質によって、女性の月経の前後では、高血糖になりやすい時期と、さほど高血糖にならない時期に分かれます。
また、インスリンの抵抗が高くなればなるほど、インスリンの分泌が多くなるというわけです。

不妊の原因となる月経異常と糖尿病

糖尿病はインスリンの分泌量が減少するだけではなくインスリンの抵抗性も高めるということにもつながりますが、これが女性ホルモンにも関係があります。

女性ホルモンとは、男性ホルモンのアンドロゲンが変化したものだという不思議なものなのです。その変化の際にインスリンの抵抗が高くなるとアンドロゲンのままとなってしまい、排卵できない状態をひき起こしてしまうのです。

またアンドロゲンが高くなったことで黄体形成ホルモンという物も多く分泌され、排卵しにくい多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の原因ともなり、排卵がきちんとなされなければ、必然的に月経異常、不妊症に結びつくという結果になってしまうわけです。

「月経前の食欲が増す」にはインスリンが原因

月経前には精神的にも肉体的にも人にはわからない苦痛に襲われる人は少なくないことでしょう。それをまとめたものがPMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)です。
そんな症状の一つに、食べてもすぐにおなかが空いてしまう、甘いものが食べたくなるということもあるでしょう。

これは、プロゲステロンがインスリンの効きを悪くしてしまうため、高血糖になりがちです。
より高い位置から低い位置に戻った時に、低血糖症状が起きることになります。
そのために糖補給を望む体が、食欲を高めてしまうものなのです。

更年期に血糖値が上昇するのはなぜ?

女性ホルモンの分泌異常(月経異常)と同じく、女性の閉経にも女性ホルモンの分泌量はかわってきます。
閉経することに加え60歳頃からエストロゲンがどんどん減っていきます。

エストロゲンは妊娠しやすくするという働き以外にも前述した通り、インスリンの抵抗を低くすることも司っていますので、エストロゲンが減ると高血糖になりやすくなるというわけです。

また、コレステロールを蓄積させないという任務もあるため、減少することで太りやすい体質に移行してしまい、ますます糖尿病への間口が広がります。

女性はインスリンとホルモンのコントロールが必要

糖尿病を患う女性にとっては、血糖のコントロールや合併症以外にも、女性ホルモンとの兼ね合いや、妊娠出産という大掛かりな心配もついてきます。

結局、女性ホルモンをコントロールしなければ血糖コントロールも安定せず、逆に血糖を正常に維持しなければ女性ホルモンにも関わり月経異常、果てには不妊症などにもつながってしまうということが現状です。

あいまいな血糖のコントロールではなく、食生活と運動を上手に調和させた日常生活に、妊娠を望む女性ならば血糖の把握や基礎体温の把握もしっかり行わなければなりません。
良いことは毎日の習慣として、糖尿病と女性ホルモンを上手にコントロールしていきましょう。

慢性腎臓病ってどんな病気?~糖尿病と腎臓病の関係~

https://blue-circle.jp/articles/330

腎臓は障害を受けた場合、二度と回復することがないことをご存知でしたか?
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透析や腎臓移植を選択するほかないという事になります。
そうなる前に私たちはどんな対策を取っておくべきなんでしょうか。

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