2023年11月9日

糖尿病による足の壊疽症状。切断しなければいけなくなる前に!

糖尿病による壊疽は高血糖が足を崩壊してしまう大変怖い症状です。 壊疽という恐ろしい病気のメカニズムを知ることで自分の足を守りましょう。 糖尿病と足の関係を解明するとともに、フットケアについてもお伝えします。

糖尿病と足の壊疽との関係

糖尿病と言えば思い浮かぶ単語はインスリンや血糖値、血液に関係している、膵臓の病気だなどが出てきますね。
しかし糖尿病の症状や恐ろしさはその部分だけはないのです。
糖尿病は膵臓から遠くに位置する足をも崩壊してしまう威力があります。

何らかの原因で血流が悪くなってしまい、身体の細胞が酸素や栄養分を失ったために死んでしまった状態を「壊死(えし)」と言います。そこに細菌が感染して腐らせ、その部分の組織が死んでしまうことを「壊疽(えそ)」といいます。

糖尿病は、特に足にこの壊疽の状態を引き起こす原因になるのです。

3つの原因が足を壊死させる

抹消神経障害

壊疽を発症する要因の1つは、足や手などの「末梢神経障害」です。神経に栄養を届けていく毛細血管の血行が高血糖によって悪くなり、神経が部分的に死滅して「足のしびれ」「足がつる」「こむら返り」などの症状が出て、症状が悪化すると感覚が麻痺し、靴ずれやたこ、イボなどができるなどして、壊疽を起こす原因となります。

これにはソルビトールという物質も関わっています。この物質は食品添加物として最近では多く使われています。砂糖の60%にあたる甘さを備えた成分です。

実は、このソルビトールは私たちの体の中でも作られるものです。
体内に入ったぶどう糖の一部はソルビトールに変化し、体外に排泄されます。

しかし高血糖が続いてしまうと、ソルビトールが多く産生されてしまいますが、排泄に追いつかなくなり血管内に残ってしまいます。これが細胞内に残り神経を侵すことになります。

こうしてその神経が支配する部分に障害が起きてしまうというメカニズムになります。
またソルビトールが生成されやすい部分が、足、網膜、腎臓の神経部分となります。

動脈硬化

動脈硬化というのは 血管内に脂肪が肥厚することで内腔が狭くなって血液循環を悪くしてしまいます。これが原因となって梗塞や出血を起こすというもの。
では、糖分がどうして動脈硬化に力添えしているかということが疑問になります。

糖は血管内に高血糖状態で停滞していると、活性酵素という物質が発生します。
この活性酵素こそが血管壁を傷つけていきます。
ギザギザになった血管壁では脂肪を主とした物質が引っかかりやすくなり、塊となって蓄積されていくのです。

また活性酵素を異物と判断し闘った白血球の残骸もその場に残ってしまい、塊となって血管内に付着するため、血管内がどんどん細くなってしまいます。

これにより手足の先へ栄養や酸素を十分に送り届けることができなくなって、冷えやしびれ、また傷が化膿しやすいといった症状が現れます。
さらに悪化すると、大きな血管が慢性的に閉塞してしまうという閉塞性動脈硬化症になり、主に足の部分の血流が遮断され、足の先端から徐々に細胞が壊死し、感染による壊疽を起こすということになります。

免疫力低下

血液の成分の一つに好中球という血球があります。
これは外敵を察知すると素早く貧食(食べて敵を抹殺)する能力の持ち主です。

しかし高血糖によりソルビトールの量が増えてしまうと、好中球の活動が妨げられるということに加え、糖分で粘度の増した血液では素早い動きがとれないという結果をもたらすのです。

免疫力が低下してしまうと、足や手の傷は治りにくく、やがては細菌やウイルスに感染しやすくなります。そしてここから壊疽に向かっていきます。

足の変化を安易に放置すると…

足の壊疽はこうして起きる

糖尿病に罹患した人の約1割弱の人に足の壊疽が認められます。
では「壊疽」が起きる過程はどういったものなのでしょう。

①足がしびれる、感覚が鈍い、温度が一定しないなどの自覚症状が現れる

②足の皮膚が乾燥する、たこ、水虫、靴ズレなどが生じる

③足の傷が治らないまたは大きくなっていく

④足の傷が化膿、潰瘍状態になる

⑤足の壊疽

足が壊疽してしまったら

怖い結果ですが、切断かもしくは、その壊疽部分から細菌感染してしまい、やがては血液にも菌が侵入し全身に周ってしまいます。それは敗血症という病名で、死に至る経過をたどります。

壊疽部分がいくら足の指先でも切断部分は、その部分だけの小範囲ではなく、中枢(体の真ん中)に近い部分で切断することで生命維持に繋げます。

もともとは壊疽になってしまうと広範囲な切断を行っていましたが、最近では壊疽による切断部分の縮小を図りその後の血管のケアやバイパス術などが行われるようになってきています。

足の壊疽を防ぐためのフットケア

壊疽を防ぐためには、高血糖にならないように普段からの血糖コントロールが必要です。
食事療法だけでは全身の管理にはなりません。動脈硬化を防ぐには適度な運動を摂りいれることや喫煙などのリスクを排除していくことは必須です。
それに合わせて、日頃から足の状態に注意することや自己ケアが必要になってきます。

壊疽にならないようにできることはしっかりと。

壊疽を防ぐフットケアその1.足の清潔

▪入浴とは別に一日2回程度は足を洗って、常に清潔を保つことが必要です
▪石鹸をしっかり泡立てて強くこすらないように、指の間などもやさしく洗います。
▪洗った後は、湿った状態は水虫になりやすいのでしっかり水を拭き取りましょう。
▪乾燥している場合は、保湿クリームを使用してもかまいません。

壊疽を防ぐフットケアその2.水虫からの壊疽を防ぐ

水虫は、白癬菌と言ってカビの原因菌の一つです。
不潔な状態では目まぐるしく増殖していきます。清潔保持はもちろん、もし水虫ができた場合は、掻いたりして刺激しないようにしましょう。
水虫は塗り薬だけでは治りません。専門医の診察を受けて早期に治療することが必要です。

壊疽を防ぐフットケアその3.爪のケア

爪が巻き爪や陥入爪になると皮膚を傷つけるようになります。
入浴後に爪がやわらかくなった時などに、深爪には十分に気を付けて、こまめに切るようにしてください。
厚く硬くなった場合は、ニッパーやヤスリを使ったり、巻き爪改善テープなどを使用すると良いでしょう。

壊疽を防ぐフットケアその4.火傷に注意

足が物に触れた感覚が鈍くなっている、温度感覚がはっきりしないなどの知覚障害が生じる場合が多いと思われます。
特に注意が必要な低温火傷。ホットカーペット、電気シーツ、電気こたつなどを使用する際は、時間を決めるなど長時間の使用を避けように再三の注意を払ってください。
また湯たんぽなどは極力使わないように、寝具を温めるだけにとどめておく。
岩盤浴や砂浜などにも素足で歩くことは避けましょう。

壊疽を防ぐフットケアその5.靴選びと使い方に工夫

靴ずれは、何気ないことで傷をつくります。知覚鈍麻になっているならば、痛みに対してすぐに対応できないので靴選びから注意していくことが大切です。
柔らかい素材で圧迫されないもの。アキレス腱、くるぶし部分がこすれて傷がつかないようなもの。
長時間歩くときは、途中で何度か脱いで通気させるとか、靴も汚れていると菌が繁殖しやすいので清潔を保つようにしてください。

壊疽を防ぐフットケアその6.靴下を履いて常に足を防御

知覚鈍麻になっていると少々の打撲などに気が付きにくくなります。
裸足を避け、靴下を使用するようにしましょう。
足を締め付けない、通気性が良いもの、大きすぎはズレ落ちてつまづくなどの支障が出ることも考えられるので、自分に合ったサイズの物を。
また水虫がある方は、5本指ソックスを用いると、傷防止、水虫改善にも効果的なのでおすすめです。
靴下も濡れたら即履き替える、清潔なものを使用するようにしましょう。

糖尿病による皮膚や手足の「かゆみ」。主な症状とスキンケアとは?

https://blue-circle.jp/articles/232

糖尿病になると皮膚のかゆみが出てくる時があります。なぜでしょうか?
高血糖が続くと免疫力が低下し、合併症を起こしやすく末梢神経・循環の機能障害から、皮膚トラブルも起こしやすくなってしまいます。
糖尿病と皮膚の関係を知り、正しいスキンケアを身につけて、かゆみ等の皮膚トラブルを未然に防ぐことが大切です。

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