2024年1月23日

糖尿病の合併症である糖尿病性網膜症、あなたは大丈夫ですか?

糖尿病の合併症の一つである糖尿病性網膜症をご存知でしょうか。自覚症状なく網膜の損傷は進行します。 病気を知ることこそ失明の防止となるのです。 まずは糖尿病性網膜症について、詳しく理解するところから始めましょう。

糖尿病性網膜症とは

糖尿病の発症者の多くが糖尿病性網膜症

糖尿病性網膜症は糖尿病の三大合併症の一つですが、現在の日本において失明原因の上位となっています。また糖尿病発症者のうち半数近くが糖尿病性網膜症を患っているということも言われています。

網膜に酸素や栄養分が補給されなくなると、網膜以外の部分にも支障を来たしたり、網膜自体にも傷がつき出血したりします。その結果網膜剥離など重篤なレベルまで上がってしまいます。
網膜症を発症した初期段階では自覚症状がなく、かなり重症な状態まで進行してから初めて知ることが多い病気です。

網膜って?

目の構造はカメラを想像しながら当てはめて考えるとわかりやすいと思われます。
水晶体=レンズ
虹彩=ピント合わせ
網膜=フィルム

網膜の形状は薄い膜です。たくさんの血管が集中し、細胞に栄養を与えています。その役割は、レンズから光と色の映像が網膜に集められ、その映像を視神経を通して脳へ伝えるものです。

なぜ糖尿病性網膜症が起きる?

糖尿病はインスリンの分泌不足や、インスリンの分泌は正常でもそれを受ける側の機能が落ちるために、血管内で糖分が多く停滞する病気です。

この多くの糖分が血液の粘度を強めてドロドロした状態にすることで血管に負担をかける。
また高血糖になることでソルビトールという物質が産生され、血管を傷つける。
こういう理由で、毛細血管の多い網膜が悪影響を受けることになります。

網膜は血管がしっかりし、血流が活発であることで栄養分や酸素を送り、細胞を活かしています。ところがその血管がボロボロになると出血も起こす、血栓が流れてくることで閉塞も起こすとなると、やがては網膜が剥がれ落ちて機能を失ってしまうのです(網膜剥離)。

糖尿病性網膜症が進行すると?

糖尿病性網膜症は徐々に進行していきます。糖尿病になったらすぐに合併症というわけではありません。

糖尿病性網膜症に進行していく確率は、糖尿病罹患から5年で15%前後、15年からは1型では50%、2型では80%と言われます。
糖尿病性網膜症は、進行に沿って種類分けされています。

単純糖尿病性網膜症

糖尿病が網膜へと合併症を起こした初期段階です。
血管から大事な成分(脂肪、タンパク質など)が漏れ出し、網膜に付着した状態です。映像的にはシミのように見える「硬性白斑」となります。
また血管壁が盛り上がる毛細血管瘤や点状くらいに小さい出血などが見られます。
網膜の一部で核心部分の損傷ではないので視力は正常、自覚症状もありません。

前増殖糖尿病性網膜症

初期段階から一歩進んだ状態で、閉塞した血管も現れてきます。
「軟性白斑」という神経がむくんだ状態が見られたり、血管も腫れを伴ったりするので、形状がばらついてきます。
閉塞傾向になると酸素や栄養分の流通が滞ってしまうため、「新生血管」が生まれ始めます。
ほとんど自覚症状はありませんが、まれに目のかすみを感じる人もいます。

増殖糖尿病性網膜症

新生血管が増えると、硝子体の域まで広がっていきます。
血管自体はとても弱いので、血管内の成分が漏れたり血圧が上がるなどの刺激で破裂して出血します。

それが原因となり膜が形成→癒着→網膜剥離の流れになります。

この時点では、視野に煙のようなものや蚊が飛んでいるような黒い光、または赤いカーテンのようなものが見えてくると言います。

光を目のレンズがキャッチしても網膜まで届かないと、ある一部分の視界が真っ暗になってしまう視野欠損が出ることもあります。
そのまま放置しておくと網膜剥離が拡大していき失明となってしまいます。

増殖停止網膜症

治療後に症状が治まった状態のことです。しかし経過観察は持続的に必要です。

糖尿病性網膜症の治療法は?

網膜光凝固術

新生血管が増殖することで失明のリスクが増えます。
網膜剥離が進んでしまって視力をすべて失うよりは少しでも残そうという目的で行われる検査です。

現状の視力からは回復しませんが、良くて現状維持、手術することで視力が落ちる可能性もあります。
網膜症の状態が初期であればあるほど、また年齢が高ければ高いほど有効な手段となります。

手法は、レーザーを使って新生血管を焼いていきます。
片側の目では1000か所以上の照射が施されますが、入院などは必要のない比較的短時間で処理可能なものです。

硝子体手術

硝子体に出血した物はほとんど自然消失しますが、出血が多すぎたり、網膜光凝固術ができない場合や網膜症の進行が著しい場合に用いられます。
出血の処理や混濁した硝子体を除去、隔離した網膜も元の位置に戻すなど、医療器具の進歩によって視力を失う前の予防としても行われるようになりました。

糖尿病性網膜症にならないためのポイント

血糖コントロール

第一に血糖のコントロールは欠かせません。食事療法だけではなく、運動もしっかり行わなければ動脈硬化や高血圧にリスクが高まり、健康を維持することはできません。
合併症に移行しないように普段から意識を持ちながら生活することが必要です。

定期眼科受診

網膜は自覚症状が無い状態で進行する病気です。
視力的には変化がないから大丈夫と安心していることが危険です。
なぜならば自覚症状が出た時には、失明の直前という場合が多いからです。
糖尿病の検査をするだけではなく、眼科受診も定期的に行うのが良いでしょう。

ルテインの摂取

目の水晶体や黄斑部にはルテインが集まり、光の吸収や活性酵素から目を守る働きをしています。
ルテインが多く含まれている食物を意識して摂ることで、目の機能を低下させないことも予防の一つと言えるでしょう。
ルテイン食品としては緑黄色野菜です。中でもケールやほうれん草に多く含まれていると言います。

放置は厳禁!糖尿病の「3大合併症」とは?

https://blue-circle.jp/articles/227

「糖尿病は合併症の病気」「本当の怖さは合併症にある」と言われています。
病院で糖尿病だと診断されても、その初期には自覚症状はあまりないのです。ところが放置していると、数年~10年程度で非常に恐ろしいさまざまな病気を引き起こしてしまうことをご存知でしょうか。

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