2024年1月22日

糖尿病に良いと言われるクロム。知っておきたい関係性

クロムと言う金属元素があります。必要量は少ないのですが、体内で血糖コントロールに重要な役割を果たしている必須ミネラルの一つです。 クロムが糖尿病に良いという事は、聞いたことありますか?

クロムの摂取が糖尿病に効果がないのかと言うと、必ずしもそうではありません。クロムの投与が、糖尿病改善に効果が見られる場合もあるのです。

実際のところ、多くの人が気になっているであろう、2型糖尿病に効果があった例も報告されています。

クロムは血糖に対してどう働くのか

人間の体の中にはGTF(Glucose Tolerance Factor:耐糖因子)と呼ばれる物質があり、この物質が血糖値を下げるホルモンであるインスリンの受容体に結合することで、神経伝達を増強してインスリンの効きを活性化するのです。

GTFの主成分はクロモデュリンと言うペプチドです。ペプチドと言うのは、たんぱく質より短いアミノ酸の集まりです。クロモデュリンには通常4個のクロムが結合しています。
体内のクロムが何らかの事情で不足すると、クロモデュリンはアポ型と呼ばれるクロムを持たない形になり、これにはインスリンを活性化する働きはありません。すると糖尿病を悪化させることになるのです。

クロムはこのようにして、インスリンの効きを活性化する働きを担っているのです。

少し難しく書いてありますが、インスリンが入っている入れ物があるとします。

そこにある扉の役割をするのがこのGTFと言う物質で、鍵の役割がクロムと言うわけです!

この三拍子がそろわないとインスリンは分泌されないのですね。

糖尿病患者はクロムが不足することがある

各種の報告でも示されている通り、糖尿病患者は体内のクロムの量が不足することが知られています。クロムが不足すると、先にお話しした通り耐糖因子の働きが悪くなり、インスリンが活性化されず、糖尿病が悪化します。

ここで注目して戴きたいのは「クロムが不足して糖尿病になった」のではなく、「糖尿病になったからクロムが不足して、さらなる悪化を招いた」と言う悪循環であることです。

ですから、当然クロムを何らかの形で補充すれば、一時的にではあっても改善する可能性はあるわけですね。

糖尿病でクロムが不足する本当の理由

上の説明を読むと、よほど特殊な状況でない限り、最初に糖尿病があってそれからクロムが不足して悪循環に陥るという流れは理解してもらえるでしょう。

ならば、そもそも糖尿病になるとなぜクロムが不足するのかと言うことになりますよね。それが判ればクロム不足による糖尿病の悪化ほ改善できるかもしれません。

クロムは吸収されにくいミネラル

クロムサプリの宣伝などを見ると、クロムは吸収されにくいミネラルであると言う説明が行われています。確かにクロムは口にした量の、ほんの数%しか吸収されないミネラルです。

しかし、健康な人の場合クロムが不足することはありませんし、健康な人がクロムを積極的に摂っても、代謝系には影響を与えないことが判っています。

そうなってくると、糖尿病の人の体の中では、クロムを吸収しにくくしている何かが起こっていると言うことになりますね。
そして、吸収しにくいのなら、吸収しやすくしたものをたくさん摂ればいいと言う、安直な考え方に陥りがちな状況でもあるのです。

食べ物の含有量

クロムはほとんどの食べ物に含まれていますので、何を摂ればたくさんとれるのかと言うのは難しいですね。むしろ、さまざまなものをいろいろ食べておけば間に合うと言うイメージです。

強いて挙げれば、ミルクチョコであれば42gで10μgを超えるクロムが摂れます。ただし、それでカロリーが234kcal、糖質が21.8gありますので…糖尿病の方にはちょっとお勧めしにくいかもです。
また、乾物系ですから量は摂り難いですが、海藻類や香辛料系にも多めです。粉末になったバジル、パセリ、パプリカ、黒コショウなどが多く含んでいます。

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