糖尿病透析患者さんの食事で気を付けたいこと
■水分と塩分の摂取を出来る限り控える
透析中の食生活の基本は、まず第一に水分と塩分のコントロールが重要になってきます。
塩分を摂ると、口渇感が強くなり、水分がほしくなります。逆に水分を摂りすぎると塩分がほしくなります。これは透析療法において血圧の低下や、気分不快等の原因になる可能性が大きくなります。
さらに酷い場合は肺水腫や心不全などを合併する危険が高くなります。
食塩の摂取基準は1日6g未満に抑えることが理想的です。
腎不全にて尿が出なくなった患者さんでは、1日の食事以外に水分(飲水、お茶など)の摂取量をドライウェイト(kg)×15ml程度(60kgなら900ml)以下におさえる必要があります。(これ以上では体内水分貯留による危険が生じます)
●塩分の過剰摂取につながるもの・・・食塩、醤油、ソース、味噌汁、漬物、梅干し、煮物、麺類などです。
■カリウムの摂りすぎは危険!?
カリウムは私たちの筋肉や神経にとって大変重要な物質です。しかし透析患者さんの場合は余分なカリウムが尿として排出されず体に溜まってしまい高カリウム血症となる危険があります。
この高カリウム血症の状態が続くと、不整脈や呼吸困難などの危険な症状を引き起こしかねません。
●一日のカリウム摂取量は2000mg以下に抑えましょう!
血清カリウム値と危険度について。
5.9mEq/l以下・・・青信号!まずまず安全
6.0~6.4mEq/l・・・黄色信号!注意!
6.5mEq/l以上・・・赤信号!危険!突然、心臓障害(不整脈など)を引き起こしかねません。
血清カリウムが高いと心臓マヒを起こしやすいので注意しましょう。
野菜類のカリウムの制限方法
■イモ類はそのまま茹でるより、小さく切って茹でこぼしましょう。
■野菜は茹でこぼしたり、水にさらすことによりカリウムを減らすことができます
カリウムは私たちが普段から食べている食事のほとんどに含まれています。ですからちょっとした意識をもってカリウムの摂取方法を上手に摂ることが大切です。
■3大栄養素!炭水化物!脂質!たんぱく質!
炭水化物、脂質、たんぱく質は三大栄養素と呼ばれ、身体のエネルギーの源となるもっとも重要な栄養分です。さらにたんぱく質の適正な摂取は、リン適正化のもとにもなります。
炭水化物
エネルギー源のもとになります。
ごはん、パンなどの主食はしっかり摂取しましょう。
ただし糖尿病の方は砂糖、はいみつ、あめなどの糖質を摂りすぎることは血糖コトロールに注意が必要です。
脂質
炭水化物と同様、エネルギー源のもとになります。
ただし、油の取りすぎ(特にバターや脂質の多い肉類などの動物性の油)は動脈硬化を促進させる危険がある為注意が必要です。
ビタミン・ミネラル
身体の調子を整えたり、三大栄養素をうまく利用すためにはビタミンやミネラルが重要となってきます。ただし、カリウムやリンの多い食品もありますので食べ過ぎには注意が必要です。
たんぱく質
骨や筋肉などの構成成分となりエネルギー減となります。
ただし、たんぱく質を摂りすぎると老廃物(尿素窒素)やリン、カリウムなどが体に溜まってしまうので注意が必要です。
■厄介なリンのコントロール
基本は必ず守りましょう
●たんぱく質摂取量を適正に(食べ過ぎに注意)
たんぱく質の多い食品にはリンも多く含まれています。
●リン吸着薬の服用を忘れずに!(医師の指示通りにしっかり内服しましょう!)
基本の次に注意すること
●乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)を摂りすぎない。
●レバー・卵類(鶏卵、いくらなど)を摂りすぎない。
●しらす干し、ししゃも、丸干しなどを摂りすぎない。
●食品添加物の多い食品を摂りすぎない。
※たんぱく質の多い食品にはリンも多い!
※カルシウムの多い食品にはリンも多い!
外食時に気を付けることは!?
■やっぱり塩分が多くなってしまう
●味付けもオーダーしましょう!
注文する際に、「薄味にしてください。」というと対応してくれるお店もあります。またステーキなどの場合は「こしょうのみで焼いてください」と頼むとよいでしょう。
●自分で塩分の加減ができるメニューを!
どんぶり物(かつ丼、親子丼、天丼、中華丼など)はすでに調味されており、自分では塩分管理ができません。反対に定食などは塩分管理が比較的しやすいでしょう!
●鍋料理は塩分が多くなります。
鍋物は塩分摂取量が多くなるので要注意です。
●麺類の汁は残すようにしましょう!
●別の容器で塩分を調整
サラダのようにドレッシングやマヨネーズがつく場合、注文するときに別の容器に入れてもらうように頼みます。そうすることで自分自身で塩分の調整を行うことができます。
■最後に
肉類や魚類などのたんぱく質やデザートのフルーツ類などは食べ過ぎるとカリウムの摂取量が多くなりますので注意しましょう。
食前酒などのアルコール類には食欲増進作用もあります。
しかし塩分やたんぱく質の過剰摂取につながる可能性もありますので注意しましょう。
●残す勇気を持ちましょう!
●なじみのお店を作りましょう!