2024年3月15日

糖尿病と関連性もあるというストレス、悪いだけのもの?

マイナスのイメージであるストレスですが、実はなくてはならないもの。しかし糖尿病には悪影響を与えるともいいます。ストレスについて詳しく知ることで、糖尿病とともに向かい合っていける方法を見つけましょう。

ストレスは傷のように目に見えるものではありませんが、どんな人でも毎日経験していることです。このストレスといえば良くないもののように解釈してしまいますが、ストレスなしでは日常生活が成り立たなくなるものでもあります。ストレスが過剰となることで体のあちこちに支障がでるものですが、糖尿病にも大きな影響を与えるということがわかってきています。負の影響とならないためにもストレスについて知っておきましょう。

ストレスとは

ストレスをわかりやすく表現すると冬にそびえ立つ木に例えられます。
木の枝がストレスを受ける物体で、その上に積もる雪がストレスを与えるストレッサーとなります。雪の重みに耐えている姿がストレスを受けていることで、重みに耐えられなくなり枝が折れてしまった状態がストレス性の病気の発症です。

ストレスの原因となるものをストレッサーといいます。ストレッサーは5つのストレッサーに区分されています。

・物理的ストレッサー=気温や気圧の変化、騒音、地震など
・科学的ストレッサー=たばこ、ほこり、薬物など
・生物学的ストレッサー=疲れ、健康障害、睡眠不足、病気など
・心理的ストレッサー=緊張、不安、苦痛、興奮、悲しみ、淋しさなど
・社会的ストレッサー=経済問題、職場問題など

ストレスのメカニズム

①脳内でストレスを認識するとストレッサーに負けないように、または逃げるための準備が始まります。脳の視床下部から下垂体と自律神経に命令が行きわたります。

②下垂体から副腎へ伝達されコルチゾールが分泌。一方自律神経から副腎へ伝達されノルアドレナリンとアドレナリンが分泌されます。

③ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾール、アドレナリン、ノルアドレナリンが分泌され、生体防御反応を起こし、ストレスに対応できる身体環境をつくります。

・コルチゾールは交感神経を刺激することで血圧や脈拍が上昇し体の興奮意識の興奮が始まります。
ストレスに対応できる身体環境をつくる
・アドレナリンはコルチゾールと同じような戦闘態勢をつくる
・ノルアドレナリンは緊張や感情を高める

④こういった症状が出現することでストレスの要因から逃れよう、体を守ろうという行動をとるようになります。
気温が上昇した時にイライラする、体温が上がるなどのストレス症状で、人は水分を摂ったり、涼しい場所に避難します。

糖尿病とストレスの関り

コルチゾール

ストレスとなる原因が刺激となって脳からスタートした防御反応がコルチゾールの分泌を促します。ストレスに勝つためのエネルギーはぶどう糖にあたりますので、コルチゾールがそのために血糖を上昇させるという働きかけを行うことがわかっています。
また同時にインスリンの受け取りを困難とするインスリン抵抗性も高め、どうしてもストレス処理に加担しようとする性質が糖尿病には悪影響をあたえることになります。

交感神経が活発

脳から自律神経へ刺激が伝わり、自律神経のなかの交感神経が優位に立ちます。不活発となる副交感神経はインスリンの分泌を増やすのに対し、交感神経はインスリン分泌を抑制します。さらには血糖値を上げるはたらきのある甲状腺ホルモン、グルカゴン、アドレナリンなどの分泌も増やすので必然と高血糖状態に傾くことになります。

過食

ストレスがたまりすぎるとその解消法を「食べる」「飲む」という方向に持って行く人もいることでしょう。精神的なアンバランスは味覚や満腹中枢まで狂わすことにもなりますので、量や味のコントロールがつかず血糖値を上げてしまうことになります。

血糖コントロールにはストレス解消が必要

ストレスに対応していく考え方としてストレスコーピングというものがあります。
ストレスの原因そのものを消去するだけではなく、ストレスと上手に付き合いながら生活を維持していくという方向から見た対処法となります。

▪環境の変化を試みる
現存する生活スタイルに無理が生じていることでストレスとなっているかもしれません。環境を変えることで原因をはっきりさせ解決の道を探す、または違った喜びを得ることで解消されることもあります。

▪運動
激しい運動はハードルが高くなったり自分の体力の有無に落胆するなど逆にストレスが増える場合があります。無理のない軽い運動が副交感神経を刺激するので心や体の開放感を得られます。
また腹式呼吸にはリラックス効果もあり代謝アップにもつながりストレス解消に効果的といわれます。

▪質の良い睡眠
脳を休息させることでホルモンバランスが整い、内臓をはじめとした体の機能を修復します。

▪話す
趣味などを通じて会話の時間を持つ、カウンセラーなどの専門家と話すことでストレスの原因を見つけ出せるきっかけになったり、精神の興奮が静まり心の心地よさを知ることにもなります。

ストレスを上手にコントロール

ストレスは刺激によって生じますが、悪ことばかりではありません。人間にとって必要だからこそ存在します。例えば嫌だと感じる仕事はそれだけでストレスとなりますが、それによってやり遂げようという意欲や向上心となり、成功させることでやりがいや満足感、喜びが生まれ自律神経のバランスが整います。

ストレスが過剰に蓄積することで胃腸の働きが悪くなり胃潰瘍や過敏性腸症候群などを発症することがありますが、反対に適度なストレスからは「ストレスタンパク質」と呼ばれるものが生まれといわれます。このストレスタンパク質はもっとハードなストレスに対して胃の細胞を守り胃粘膜を保護するパワーを持っています。

実際に実験を通して実証されているように、ストレスがない世界にいると精神の崩壊から身体維持ができなくなるといわれます。ストレスは私たちを鍛えながら今の存在を維持していくものであるという側面も覚えておかなければならないことでしょう。

糖尿病だから食事コントロールが大変だと思い込んでしまうとストレスは重くなります。
ストレスのコントロールは誰しもが行っていかなければならないことですので、食事を楽しみ、心に余裕をもった生活を送ることこそが上手なストレスコントロールと考えましょう。

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