食事療法は、すべての糖尿病患者さんに必要な基本的な治療法です。食習慣を改善し、血糖値を良好にコントロールすることが目的で、糖尿病の疑いがあると診断されたときから開始します。
『食事療法=カロリー制限』の印象があるかもしれませんが、単に摂取カロリーを制限すればよいというものではなく、必要な栄養素を過不足なく摂取することが原則です。そのため、食品に含まれる栄養素やエネルギー量を知っておくことも大切です。
バランスのよい食事を楽しみながら、正しい食習慣を身につけましょう。

糖尿病の食事療法においての注意点、徹底解説!

食事療法の実際
■1日当たりのエネルギー量
1日当たりの適正なエネルギー量は、一般に男性では1,600~2,000kcal、女性では1,400~1,800kcalの範囲といわれていますが、体重や身体を動かす程度などにより異なります。自分に適したエネルギー摂取量を以下の計算式から算出してみましょう。
エネルギー摂取量 = ①標準体重(kg) x ②身体活動量
①標準体重(kg)=身長(m)x身長(m)x22
②標準体重1kgあたりの身体活動量の目安
・軽労作(デスクワークが多い職業など)・・25~30kcal
・普通の労作(立ち仕事が多い職業など)・・30~35kcal
・重い労作(力仕事が多い職業など)・・35~kcal
例)デスクワークが多い会社員男性、170cm、80kg
⇒標準体重・・・1.7(m)×1.7(m)×22=63.6(kg)
⇒エネルギー摂取量・・・63.6(kg)×25(~30)(kcal)=1,590(~1,908)(kcal)
食事の際の注意点
■時間は規則正しく

朝・昼・晩と規則正しく食べて、間食は避けます。1日1、2回にまとめて食べたりすると、膵臓に大きな負担をかけて、糖尿病が悪化してしまいます。仕事などで規則的な食事ができない場合などは、1日の総エネルギー量から決められた分を間食としてとるといった工夫をします。
■ゆっくりよく噛んで、腹八分目

食事をしてから満腹感が得られるまでには、ある程度の時間がかかります。ゆっくりとよく噛んで食事をすることで、必要以上に食べることを防ぐことができます。
■食事の種類はなるべく多く

食品の種類はできるだけ多くとり、栄養素が偏らないようにしましょう。
■脂質塩分は控えめに

脂質が多い食品を多くとると、脂質異常症となり動脈硬化が進行するおそれがあります。特にコレステロールや飽和脂肪酸が多い食品は控えめにしましょう。
また、食塩の量が多いと、高血圧の原因となり腎症や網膜症をはじめとした合併症が進行するおそれがあります。味付けは薄くして、食塩の量を減らすようにしましょう。理想的な食塩量は1日6g以下ですが、まずは10g以内におさえましょう。
■食物繊維をとる

野菜、海藻、きのこなど食物繊維を多く含むものは、食物の消化吸収をゆっくりにして、血糖値の急激な上昇をおさえます。さらに空腹感をおさえる効果もあるため、積極的にとるようにしましょう。
食物繊維を多く含む食材は1日350gを目標にとるとよいでしょう。
■外食するとき

外食は、一般的に『総エネルギー量が高い』、『塩分・糖分が多い』、『野菜・ミネラルが不足しがち』となる傾向があります。エネルギー量や栄養成分について確認することが難しいため、普段の量より多ければ残すことや、丼物といった単品メニューではなく、品数が多い定食メニューを選ぶなどの工夫をしましょう。外食のエネルギー量や栄養素のバランスを見分けられるように、日頃から食品の量をはかる習慣をつけておくのもよいでしょう。
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