年々糖尿病を発症する人が増えています。世界的にみると上位3ヵ国は中国、インド、アメリカですが、日本も徐々にランクアップしてきている国の一つです。糖尿病の発症を性別で見てみると、と女性よりも男性の方が糖尿病になる率が高くなります。しかし男女とも増加する傾向は変わらないという結果が出ています。
糖尿病2型では、もちろん個人の生活習慣が起源となって発症することが多いのですが、男女を比べると女性には女性特有の原因や症状があります。どういった内容なのか、予防対策を行うためにも知識を深めることが大切です。
女性には糖尿病における大きなリスクがある
糖尿病には女性と男性の違いがある?
Ⅰ型糖尿病は女性の方に発症率が高いということが言われます。2型糖尿病では男性に多いとされる理由には「肥満」があげられます。男性に比べると女性は20代を中心に少しやせている体型が多いということが起因となっているようです。また女性に比べて男性の方が社会に出て働く率が高いため外食や過剰な飲酒、喫煙なども原因にあげられます。
しかし糖尿病になってからの合併症の発症にポイントを置くと男女差はなく、やはり血糖のコントロールを中心とする日常生活をどうするかに結果がともなっています。
また合併症には三大合併症と言われる糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害のほかにはさまざまなものがありますが、そのうち動脈硬化に進行し、脳血管障害を発症するというルートでは女性に多いとされています。
糖尿病では女性特有の原因が大きい
女性が糖尿病になりにくいとされる原因に女性ホルモンが関わっています。比較的若い時の発症は女性ホルモンの力が助けてくれていることになりますが、裏を返すと閉経後にはリスクが大きくなるということです。
■女性ホルモンが減少すると
女性ホルモンが安定するのは20代ですが、40代になると女性ホルモンの減少が進みます。その理由に、卵巣の中には卵胞というものが存在していますが、この数が減っていきます。すると女性ホルモンであるエストロゲンが分泌されにくくなり閉経を迎えたあとでは完全に分泌がストップしてしまうことになります。
女性ホルモン減少が糖尿病や他の病気につながる過程は以下となります。
①女性ホルモン減少
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② エストロゲンの脂肪を燃焼させる機能が低下し、残ったエネルギーが内臓脂肪となり太りやすくなります。
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③ 脂肪細胞が増えると、善玉サイトカインのアディポネクチンやレプチンなどが減り、悪玉サイトカインのTNF-αなどが増えます。
・アディポネクチンは、運動の有無に関係な筋肉に存在する酵素を活性化させエネルギーの消費を促します。
・レプチンは満腹中枢を刺激する成分で、普段は食欲を抑えます。
・TNF-αは筋肉、肝臓において糖の働きを鈍くします。
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④ エネルギーは消費されにくく、インスリン作用の効果が低くなり(インスリン抵抗性)、
膵臓に負担がかかるようになります。
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⑤ 糖尿病、動脈硬化へ進展。
女性特有の糖尿病初期症状は?
男女差のない一般的な初期症状としては、「口や喉の渇き」「食べても痩せてくる」「排尿の回数が増える」「目のかすみ」「足のむくみ」「疲れやすくなる」などがあります。
女性の場合は、それに加えて「吹き出物が出やすくなる」などがということもありますが、デリケートゾーンのかゆみが出現するという大きなサインがあります。
外陰部に限ってかゆみが強くなるため、ゴシゴシ洗いをする人も多くなりますが、洗うだけでは症状は軽減しないのが特徴です。
デリケートゾーンの症状が出る理由
糖尿病とは血液中にぶどう糖が多く残ってしまう病気です。ぶどう糖を細胞のエネルギーとして取り込む作用の仲介役のインスリンが、不足することで起こってしまう、またはぶどう糖を取り込む側の受け入れ拒否が起こってしまうことで高血糖になるものです。血液中が高血糖になると、ドロドロと流れる様子が想像できるように血行不良になります。血液の中には酸素や栄養が流れているため、血行が悪くなると目的地までそれらが運ばれなくなってしまいます。そういった血行不良や栄養不足が女性の外陰部のかゆみを引き起こす原因となります。
更年期を過ぎた女性は特に注意が必要
女性ホルモンが大きな役割であることがわかれば、減少することでその分自己の体をセルフケアしてあげなくてはなりません。内臓脂肪を増やさないように生活を見なおしてみましょう。
■食習慣のポイント
・血糖値の急激な上昇を防ぐためにも野菜から食べるようにします。よく噛んで食べていると満腹感が早く上昇暴飲暴食の予防になります。
・白米や小麦粉主体の麺やパンよりは、玄米やライ麦パンなどが血糖値の急上昇を防ぎます。
・食物繊維を多く摂取しましょう。食物繊維は糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の上昇も滑らかにします。
・食事はドカ食いではなく3食に分け、夜8時以降食べないようにします。食間を5~8時間程度保つことで膵臓の休息をはかり、夜間は体が脂肪を取り込みやすい状態をつくりますので、寝る前は飲食を控えましょう。
■善玉サイトカインを増やしましょう
▪アディポネクチンを増やす方法は内臓脂肪を減らすことですが、効果のある成分を摂ることも大切です。
大豆たんぱく質、マグネシウム、青魚に豊富なEPAなど。
▪レプチンを増やすには自律神経に由来する要因があるため、規則正しさやリズムを持った行動が有効的となります。
よく噛みながら食事をする、ウォーキングなどゆっくりとしたリズムのある有酸素運動、5時間以上の睡眠などが有効的です。
体調管理に気を遣って悪いことはない
糖尿病になってしまうと男女の差というよりは生活の仕方、個人の自覚や管理が重要となりますが、きっかけとなる女性ホルモンは女性特有のものです。恩恵を受けていた分、その後の体調管理には気を使わなくてはなりません。最近ちょっと体重が気になる、糖尿病の初期症状かもと思ったときには、すぐに病院で検査を受けるなどの機敏な行動も自己の体を守ることになります。