2023年10月27日

糖尿病治療薬のすすめ!糖尿病で経口投与を始めたあなたへ

糖尿病治療薬について。ご自身の飲んでいる薬についてしっかり把握しておきましょう!糖質の吸収を抑制するのも、インスリンの分泌を高めてくれるもの、インスリン抵抗性をやわらげてくれるもの、様々あります。食前に飲むのか、食後に飲むのか、また副作用はないのか?自分に合っているのかどうか、まずは薬剤を知ることから始めましょう!

2型糖尿病の治療の流れ

Ⅱ型糖尿病の治療として、まず第一歩は「生活習慣の改善」があげられます。
患者さん自身が糖尿病の病態を十分に理解し、適切な食事療法や運動療法を行い、生活習慣を改善していくことが大切です。

生活習慣の改善で血糖コントロールが出来なかった場合は、薬剤治療の導入となります。

薬物療法を開始してからも、体重減少や生活習慣の改善、血糖値改善により、薬剤の減少などで、薬剤を中止となることもあります。

また、疲弊した膵臓を休める目的で、一時的に、次の治療であるインスリン療法を行う事もあります。

経口血糖降下薬の適応

経口血糖降下薬は原則として食事・運動療法が適切に行われているにもかかわらず、十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者に対し使用されます。

糖尿病経口適応薬の種類

糖尿病治療薬①糖吸収調節薬(αグリコシターゼ阻害薬)

αーグリコシダーゼ阻害薬は、小腸において二糖類を単糖類に分類する酵素であるαーグリコシダーゼの活性を低下させます。

食後の急激な血糖上昇を抑制し、インスリン分泌の負担も抑制します。

食事により摂取された炭水化物(デンプン)は、小腸においてαアミラーゼにより二糖類に分解され、さらに小腸粘膜上皮細胞の刷子縁に存在する二糖類分解酵素(α-グルコシダーゼ)により単糖類にまで分解されて吸収されます。α-GIは、このニ糖類分解酵素であるα-グルコシダーゼの作用を競合的に阻害することで、糖の分解・吸収を遅らせます。

た、糖尿病の患者はインスリン分泌のタイミングが遅れているため、α-GIにより血糖上昇とインスリン分泌のタイミングが合うようになり食後の高血糖を抑制します。よって、空腹時血糖はさほど高くなく、食後に高血糖になるようなインスリン非依存状態を示す症例に使用されます。単独では弱いため、他の糖尿病治療薬と併用されることが多いです。

■■α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)の副作用■■

糖尿病の飲み薬の主な副作用に、血糖値が下がりすぎてしまう「低血糖」もあります。しかし、α-グルコシダーゼ阻害薬は、インスリンの分泌量を増やすわけではないので、単独服用では、低血糖になることがほとんどありません。ですから、主には他の薬と併用する場合に、低血糖を起こすこともあると考え注意してください。

また、小腸でブドウ糖に分解されなかった糖質は、大腸に送られて、腸内細菌に分解されますが、このときに、ガスが発生します。このため、α-グルコシダーゼ阻害薬の服薬初期には、お腹の膨満感、おなら、下痢などの副作用が現れやすくなります。ただし、こうした症状は、薬を飲み続けていれば自然に治まっていくので、自己判断で服薬をやめないようにしましょう。

非SU薬(膵臓のβ細胞への負担がない、または少ない薬)なので、比較的、軽症の糖尿病の治療で適応されることが多い薬です。

糖尿病治療薬②速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)

グリニド薬は、膵臓のβ細胞に対してインスリン分泌を刺激します。

・食後のインスリン追加分泌を上昇
・インスリン分泌パターンの改善
・SU薬に比べて低血糖をきたしにくい

※基礎分泌の低下がある症例やSU薬無効例では効果が期待されにくいことがあります

インスリン分泌促進薬(グリニド薬)は、その名の通りインスリンの分泌を促進する薬です。

 インスリン分泌促進薬(グリニド薬)の特徴は、薬を飲んで30分程度で薬の効果がでてきて、2~3時間で効果がなくなるということです。

早く効き始め早く効果がなくなります。そのため食前に服用することで、食後の高血糖を抑える効果があります。

 この薬の副作用である低血糖は、スルフォニル尿素薬(SU薬)に比べれば起こしにくいのですが、食前に薬を飲み忘れたからといって、食後に服用してしまうと、血糖値が上がるタイミングがずれ、まれに低血糖を起こすことがあるので、飲み忘れには注意しましょう!もし飲み忘れてしまったら、次の食事の前まで薬は飲まない方がいいです。

 また、インスリン分泌促進薬(グリニド薬)は、次のページで解説する同じく食後の血糖値を下げる効果がある、α-グルコシダーゼ阻害薬と一緒に処方されることがあります。

■■グリニド薬の副作用■■

低血糖(スルフォニル尿素薬(SU薬)に比べると起こりにくい)

糖尿病治療薬③インスリン抵抗性改善(ビグアナイト薬)

ビグアナイト薬はインスリンの分泌を刺激せずに、様々な機序で抗糖尿作用を発揮します。
このため、肥満を助長しにく傾向にあります。

ビグアナイド薬(BG薬)は、スルフォニル尿素薬(SU薬)と同じく、昔から使われている糖尿病のお薬です。

 ビグアナイド薬(BG薬)は、肝臓でブドウ糖が新しく作られる(糖新生)を抑え、インスリンの働きを良くします。 また、腸からのブドウ糖の吸収を抑制します。

 ビグアナイド薬(BG薬)には、メトホルミン塩酸塩というお薬がありますが、インクレチンの一種であるGLP-1を増やす働きがあります。GLP-1は、インスリンの働きを促すホルモンです。

 ビグアナイド薬(BG薬)は、食欲を抑える効果があるため、肥満の人や食べ過ぎてしまう人によく使われます。肥満で脂肪肝になると、インスリンの働きを悪くします。

 ビグアナイド薬(BG薬)は、比較的副作用が少ない薬ですが、高齢者や腎臓・肝臓・心臓が悪い人は、ごくまれに血液中に乳酸が過剰にたまって、意識障害に陥る場合があります(乳酸アシドーシス)。

■■ビグアナイト薬の副作用■■

下痢・嘔吐・食欲不振・倦怠感。また、他の疾患がある人では、ごくまれに血液中に乳酸が過剰にたまって、意識障害に陥る場合があります(乳酸アシドーシス)。

糖尿病治療薬④インスリン抵抗性改善(チアゾリジン誘導体)

血液中のブドウ糖が、筋肉や脂肪でエネルギーとして使われることを促す。肝臓からブドウ糖が新たに作られる糖新生を防ぐ。肝臓や筋肉での脂肪燃焼を助ける。

チアゾリジン薬 (インスリン抵抗性改善薬)は、筋肉や肝臓のインスリン抵抗性を改善し、インスリンの働きをよくする効果があります。

 インスリンの働きがよくなれば、筋肉や肝臓でブドウ糖がエネルギーとして効率よく代謝されます。

 また、チアゾリジン薬 (インスリン抵抗性改善薬)は、血液中のアディポネクチンという脂肪細胞から分泌されるホルモンを増やして、筋肉や肝臓での脂肪の燃焼を促してくれます。さらに、肝臓からブドウ糖が新たに作られる糖新生を防ぐ効果もあります。

 チアゾリジン薬 (インスリン抵抗性改善薬)は、体重増加という副作用がありますので、服用中は特に食事と運動に気をつけます。また、身体に水分がたまりやすくなり、むくみがでる場合があります。

 また、心臓に負担がかかる場合がありますので、心不全などの危険がある患者さんには使えません。女性の場合は、骨がもろくなる骨粗しょう症になる可能性がありますので、年に1回は骨密度の検査を行います。まれに、肝臓に障害を起こす場合もあります。

■■チアゾリジン誘導体の副作用■■

 体重増加・むくみ・肝機能障害・肝障害・心不全・骨粗しょう症

糖尿病治療薬⑤インスリン分泌促進薬(スルホニル尿素薬)

スルホニル尿素受容体に結合して、インスリンン分泌を刺激します。

・インスリン分泌量を増加させるので肥満を助長しやすい
・長時間の使用によって膵臓のβ細胞が疲弊し、二次無効を来すことがある
・低血糖をきたしやすい

スルフォニル尿素薬(SU薬)は、腸から吸収され、すい臓のβ細胞に働きかけ、インスリンの分泌を促します。

また、インスリンの働きをよくして、ブドウ糖の代謝を良くしたり、肝臓で新たに作られるブドウ糖の量を抑制したりといった効果があります。

 食前または食後の血糖値が上昇するタイミングで服用し、効果は6~24時間持続します。

 スルフォニル尿素薬(SU薬)が他の薬と大きく違う点は、スルフォニル尿素薬(SU薬)を服用すると、薬の効き目があるうちは、常にインスリンの分泌を促すということです。

高血糖の状態でも低血糖の状態でも、薬を服用すればインスリンの分泌を促しますので、効き目は強力ですが、使い方を間違えると低血糖を起こしやすい薬です。

 スルフォニル尿素薬(SU薬)は、40年以上前から糖尿病の治療薬として使われている薬ですので、たくさんの臨床結果(エビデンス)がありますので、安心して使えます。

■■スルフォニル尿素薬(SU薬)の二次無効■■
 

SU薬を服用していると、少しずつに薬の効果が弱くなってくる、二次無効と呼ばれる状態になることがあります。その場合は他の飲み薬を併用したり、インスリン療法など他の治療法も検討します。

ただし、二次無効にみえても実は、食事療法や運動療法が不十分で、SU薬の効き目が落ちているケースも少なくありませんので、二次無効が疑われる場合は、再度食事療法や運動療法を見直します。

■■スルホニル尿素薬の副作用■■

低血糖・体重の増加・すい臓の疲弊(二次無効)

糖尿病治療薬⑥インクレチン関連薬(DPP-4阻害薬)

食事をすると、腸からインクレチンというホルモンが分泌されます。このインクレチンの中にあるGLP-1という物質には、すい臓のインスリンの分泌を促す働きがあります。

しかしGLP-1は、腸から分泌された後、DPP-4という酵素に大半を分解されてしまいます。そこで、DPP-4阻害薬という薬を服用して、DPP-4をブロックすることでGLP-1を守り、インスリンの分泌を促すという効果があります。

 DPP-4阻害薬の最大の特徴は、食事をして血糖値が高くなったときにだけ、インスリンの分泌を促すということです。そのため、低血糖になりにくいというメリットがあります。

また、すい臓のα細胞から分泌されるグルカゴンというホルモンの分泌を抑えることで、血糖値の上昇を抑える効果もあります。

■■DPP-4阻害薬の副作用■■

DPP-4阻害薬は、低血糖を起こしにくい薬ではありますが、他の薬(スルフォニル尿素薬・SU薬)と一緒に飲む場合は、薬が効きすぎて低血糖を起こす可能性があります。

ちなみに、妊娠糖尿病には経口治療薬は厳禁!!

妊娠中または妊娠の可能性がsる女性に対しては経口血糖降下薬を使用せず、インスリン療法を選択します(経口血糖降下薬の催奇形性や胎児への低血糖の影響が否定できないため)

まとめ

タイトルにはありますが、「糖尿病の完治」というのはとても大変な事です。
薬を始めるという事は、インスリン分泌の状況や、血糖コントロールがうまくいっていないという事なので、さらに大変かもしれません。

記事にもありますが、
一時的に膵臓の疲弊回復のために薬剤を投与することもありますので、
少しでも良くなるように、薬だけに頼らず、生活習慣もしっかり整えていきましょう!☺

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