2024年2月18日

糖尿病と高血圧。切っても切れない縁を悪循環してしまう前に!

糖尿病を持っている人の半分は高血圧を持つことになると言います。ではどういうつながりがあるか不思議に思った人も多いと思われます。ここではそういった疑問を解消して、悪化防止に繋げましょう。

高血圧の基本的な意味はこういうこと

血液は心臓のポンプ機能によって全身に送り出されます。血管の抵抗性が高い状態ではポンプの力も、より多く必要になってきます。
この圧力を数字として表し、また数字から血管の正常を判断するといったものが血圧です。
血管が硬い、血管内にゴミがたまるなどが原因で圧力が高くなるのが高血圧です。

高血圧は高齢になるにつれて血管も古くなるので、発症しやすくなるのは当然ですが、持病なく高血圧になる人よりは、糖尿病を持っている人が高血圧を発症する率が2倍以上も高いと言われます。

糖尿病があると高血圧になりやすい、その理由5つ

高血糖で血管内の水分量が増加するため

細胞には浸透圧の原理といって、細胞の中と細胞の外の濃度を中和するために薄いほうから濃いほうに溶液が移動する性質があります。

血管内に糖がたくさんたまって高血糖となると、濃度が高いドロドロとした血液になります。細胞はもちろん細胞内の水溶液を濃いほうに移動させます。
これによって血管内の水分量が増え、血管壁に与える圧力が高くなり血圧が上昇するという結果になります。

脂肪の蓄積が交感神経を活発にするため

糖尿病を発症した人の多くは肥満であることがわかっています。
食べた物がエネルギーとなって消費されるならば肥満にはなりません。エネルギーの需要と供給のバランスが悪くなると体内に蓄積されます。
私たちの身体には肥満を防ごうとする自然の働きがあるといいます。

糖質は残ってしまうと肝臓でグリコーゲンとして脂質の形で蓄えられます。
肝臓には蓄積する働きと、同時に脂肪を使えるように基礎代謝を上げるというコントロール機能二つがあります。

しかしこのコントロール機能が交感神経の働きも仰ぎたてるのです。
交感神経は本来、血管を収縮させる、心拍数を上げるという働きがあるため、血圧を上げる結果となります。

肥満細胞が悪玉物質を放つため

肥満になると細胞にも変化が出てきます。肥満細胞と呼ばれるものです。
この肥満細胞からホルモンに似た働きをする物質(アディポサイトカイン)が解き放たれます。

善玉の働きをする物質も含まれますが、高血圧に関与するもの、高血圧をさらに悪化させて合併症にまで引き上げるものなどの悪玉物質が8つあります。
難しい名前ですが、参考までにいくつか挙げてみました。

・PAI-1(パイ・ワン)
脳梗塞や心筋梗塞の原因ともなる血栓を形成しやすくする

・TNF-α、レジスチン、FFA、IL-6、MCP-1
インスリンが効きにくい状態にする(インスリン抵抗を高める)

・アンジオテンシノーゲン
血圧を上昇させる

・HB-EGF
動脈硬化を促進する

インスリン抵抗性の増大が影響

糖尿病はインスリンの分泌が減ることで高血糖になることが主な病態ですが、もうひとつインスリンの抵抗性を大きくすることも特徴の一つです。

高血糖に対して必要量のインスリンが分泌されたとしても、それを利用する部分が拒否してしまうとインスリンの効果としては下がる一方であり、また一旦分泌されたインスリンが行き場を失います。

この浮いてしまったインスリンが、塩分(ナトリウム)を尿として排泄させる機能の邪魔をし、交感神経にも活発に働くように刺激を与えてしまうのです。
すると血管内の容量が増える→血圧の上昇というルートをたどることになります。

糖尿病性腎症が高血圧を引き起こす

糖尿病の合併症に糖尿病腎症があります。
血管がボロボロになることで腎臓の毛細血管がダメージを受け、腎臓の機能が低下してしまうと、ナトリウム(塩分)の排泄ができなくなり再び血液内に戻ってしまいます。

また疲労した腎臓を助けるため、血圧を調整するレニンという酵素が、あえて血圧を上げるシステムをとってしまいます。
こうして二つの要因のもとで血圧は上昇するばかりなのです。

糖尿病と高血圧ダブルの影響

糖尿病が引き金となって高血圧を引き起こしますが、糖尿病と高血圧がタックを組むとどんな悪影響がでてくるのでしょうか。

動脈硬化が進行する

高血糖の連続でドロドロな血液となり、血圧の上昇で血管壁への負担。痛めつけられた血管は弾力性も失い、デコボコな血管壁となってしまいます。
そういう血管では、コレステロールや白血球の死骸などが引っかかったり、蓄積されやすい環境となります。

やがてこの状況が動脈硬化となり、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、脳出血へとつながってしまいます。
こういった病気は糖尿病だけでもリスクとなるところに高血圧が重なったのではリスクが数倍になってしまうというわけです。

合併症の発症と進行

糖尿病性腎症が高血圧を引き起こすことは前述しましたが、反対に高血圧から糖尿病性腎症を引き起こすことにもなります。

腎臓は血液のろ過工場ですから、高血圧で血流が多くなると腎臓の負担は半端ではなくなります。すると修繕しようとまたレニンなどが働きかけるため、きりのない競争となります。

また、糖尿病性網膜症は毛細血管のダメージが原因ですから、進行に拍車をかけることになります。

糖尿病も高血圧も生活の基本が大切

糖尿病にはもちろん血糖のコントロールが大事ですが、そのためには普段の生活のベースをいかに規則的にするかということにかかってきます。
カロリーだけではなく、塩分の摂り過ぎに注意した食生活。平均一日の摂取量を6gを目安に味付けしましょう。

また、たばこは血管を収縮させることが当たり前の機能であり動脈硬化への近道を作るものですので、おすすめできる点はひとつもありません。禁煙する決心をしましょう。
糖尿病の原因として一番い上がる肥満は、運動と食事療法の二つを継続的に行っていかなければなりません。
病気を回避、悪化防止するには日々の努力が大切であるということですね。

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