頑張る栄養くん~ビタミン ビタミンD~

見えないところでも栄養は頑張ってくれています!今回はビタミンD編!

ビタミンDとは

 ビタミンDは、油脂に溶ける脂溶性ビタミンのひとつです。食べ物からとるほかに、日光を浴びると私たちの体内でもある程度つくり出せるビタミンです。
 少し前はIU(アイユー)という国際単位で示されましたが、現在はμg(マイクログラム)で表されます。1μg=40IUです。

どんな働きがありますか

 ビタミンDには、小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進する働きと、それによって血液中のカルシウム濃度を保ち、丈夫な骨をつくる働きがあります。

過剰症・欠乏症は?

ビタミンD不足の問題

ビタミンD不足はどのような時に起こるのか?

食事から充分な量を摂取できなかった時、消化管からの吸収が不十分な時、腎臓でビタミンD活性型 (1,25 (OH) 2D) に変換されない時、日光に当たる時間が不十分な時などにおこることがあります (11) 。

ビタミンD不足の判断基準

血中25ヒドロキシビタミンD (25-OH-D) は血液中のビタミンD代謝物の中で最も濃度が高く、ビタミン補充状態をよく反映するため、体内ビタミンDレベルの指標となっています。血中25-OH-Dの基準値は15~40 ng/mL、10 ng/mL以下は潜在性ビタミンD欠乏症であると判断されます (17) 。

ビタミンDが不足すると、どのような症状が起こるのか?

ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収低下や骨代謝異常を引き起こします。代表的な症状として、子供ではくる病、大人では骨軟化症が起こることが知られています (11) (17) 。くる病になると、くるぶし、ひざ、手首などの関節が肥大して二重関節になります (17) 。近年、積雪寒冷地域在住の完全母乳栄養児で、日照を受ける機会が少ないことによるビタミンD不足が報告されており、くる病のリスクが高いことが指摘されています (2012344306) 。高齢者では、ビタミンD不足状態が長期間続いた場合、骨密度が低下し、骨粗しょう症や骨折のリスクが高まると言われています (11) 。

ビタミンD過剰摂取のリスク

ビタミンDを短期的、または長期的に過剰摂取すると、骨からのカルシウムの動員が激しく起こり、血清中のカルシウムとリン酸濃度が高くなり、腎臓や筋肉へのカルシウムの沈着や軟組織の石灰化が見られます (11) (17) 。その他の症状としては、嘔吐、食欲不振、体重減少などが起こることがあります (17) 。

ビタミンDはどのぐらい摂取すればよいか?

 ビタミンDが不足すると小腸や腎臓からのカルシウム吸収が不十分となり、骨や歯の形成もうまくいかなくなり、赤ちゃんや子どもではくる病、成人では骨軟化症を引きおこすといわれています。高齢化社会を迎えて、日本でも骨粗しょう症(カルシウムの項を参照)の人が増えています。若いうちから、ビタミンDとカルシウムを十分にとることに加え、適度な日光浴と運動に配慮して丈夫な骨をつくりましょう。
 一方、ビタミンDのとり過ぎは、高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化など過剰症をまねくおそれがあります。通常の食事から過剰症になることはほとんどありませんが、サプリメントや薬などから誤って大量摂取しないように注意が必要です。

骨とビタミンD


ビタミンDは骨を丈夫にしてくれます。

ビタミンDには、カルシウムの利用を高めるという働きがあります。腸や骨でのカルシウムの動きにかかわって、血液中のカルシウムやリンを一定に保ってくれています。

ビタミンDが不足すると、体内のカルシウムの動きが乱れてしまい、子供ではくる病、大人では骨粗鬆症などの骨の病気を起こしやすくなります。

豆知識

骨とは何か?

ヘモグロビンが酸素を全身に運ぶご存知でしたか?私たちの体の中には大小206本の骨があります。何のために骨があるのでしょう。

*体を支える
*内臓をまもる
*頭蓋骨は脳を、肋骨は心臓や肺を守ってくれています。
*カルシウムの貯蔵庫

からだのさまざまな反応の引き金となるカルシウムを、足りなくなったときのために貯めてくれています。

ふだんあまり考えることのない骨の働きですが、こんな大切な役割をしてくれています。健康な骨のためには、不足しがちなビタミンD、カルシウム、マグネシウム、タンパク質をしっかり摂って、適度な運動をすることが効果的です。

高齢社会とビタミンD


高齢社会を迎えている日本。「ピンピンコロリ」はみんなの願いです。高齢になっても、その最期の日まで自分の足で歩いて好きなところに出掛けたいですね。

血中のビタミンD(血清25(OH)D )濃度は筋力低下や転倒と関連があるともいわれています。

糖尿病とビタミンD

糖尿病は、いまや世界規模の問題となっています。この糖尿病とビタミンDとの関係が報告されています。

糖尿病血中ビタミンD濃度が高い群は、低い群と比べてⅡ型糖尿病のリスクが64%低いことが報告されています。
Pittas AG et al : J Climn Endocrinol Metab 2007;92:2017-29

フィンランド乳幼児10,000人を対象の研究において、ビタミンD(2000IU/日)摂取によりⅠ型糖尿病発症リスクを88%抑制できたとの報告です。
Hypponen E et al: Lancet 2001;358, 1500-3

厚生労働省の国民健康・栄養調査(H19)によれば、糖尿病が強く疑われる人は約890万人、糖尿病の可能性が否定できない人は約1,320万人、合わせて約2,210万人と推定されています。

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