糖尿病では血糖コントロールが必要となり常に血糖値の把握や変動の調整をしていかなければなりません。その一方で病院受診では血液検査の項目中「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」という項目も重要視されます。
糖尿病を診断されている方では血糖と合わせてHbA1c値にも神経を使うことと思われます。しかしこの内容を詳しく知っている方は意外に少ないかもしれません。
「HbA1c」を詳しく知ることで自分の体をより理解しましょう。
糖尿病では血糖コントロールが必要となり常に血糖値の把握や変動の調整をしていかなければなりません。その一方で病院受診では血液検査の項目中「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」という項目も重要視されます。
糖尿病を診断されている方では血糖と合わせてHbA1c値にも神経を使うことと思われます。しかしこの内容を詳しく知っている方は意外に少ないかもしれません。
「HbA1c」を詳しく知ることで自分の体をより理解しましょう。
血液の中にはヘモグロビンというものが常に流れています。ヘモグロビンはタンパク質のひとつであり血液が赤色というのはこのヘモグロビンの色のためなのです。
ヘモグロビンは酸素と合体して全身に酸素を送り届ける役割を持っていますが、糖質と結びつきやすい性質があり血液内に浮遊した糖質と結合したものがHbA1cとなります。
通常はヘモグロビンの約4%が糖と結合したものとなりますが、高血糖になるとその分多く結びつくのでHbA1cの値が高くなるというわけです。
一般的な特定健診などではHbA1c(NGSP)の正常値は5.6%未満(5.5%も含み、それ以下が正常)で、生活習慣病を予防するための指導が必要かどうかを判断する基準です。
また病院では6.2%未満となっていますが、6.3%でも糖尿病でない人がいますので、これだけで糖尿病かどうかは確定できないので、あくまでも判断の一手段と考えることが良いでしょう。
何年か前には正常範囲が狭かったのに知らないうちに範囲が広くなっていたと不思議に思った方もいるかもしれませんが、それには基準値が世界的に統一されたことにあります。
以前の基準値はJDS(日本糖尿病学会)のみの値でしたが2012年にNGSPが追加され、現在ではNGSP(米国主体で条件付けされた世界基準)の値に統一されたことで変動が生じています。
糖尿病を診断された方では年齢も性別も環境も違いますから、個人的な目標を持って判断されることが多いと思われますが、だいたいの目安としては下記になります。
・HbA1c値 6.0未満(NGSP値)
食事療法や運動療法で保てる、または薬物療法でも低血糖などトラブルなく
安定している場合の目標値
・HbA1c値 7.0未満(NGSP値)
血糖の変動がある人や、なかなか7.0代から下降しない人には合併症に
進行しないようにする目標値
・HbA1c値8.0未満(NGSP値)
薬物療法でもかなり強いものの使用によって低血糖などの副作用も心配される人であり、
8.0以上になると合併症への進行も早くなるため、合併症の症状と合わせながら進行させない目標値
血糖値はまあまあなんだけどHbA1cの値だけが高いと疑問や納得のいかない方も多いと思いますが、これには血液の寿命が関係しています。
赤血球は全身を巡回していますが、私たちは一生同じ赤血球を保持しているのではなく、骨髄で作られた赤血球は120日(約4ヶ月)程度全身を巡回した後は破壊されて新しいものと入れ替わるというシステムを持っています。
赤血球が糖と結びつくと離れないという性質があることから、寿命を全うするまで結合しています。この事からおおよそ過去1~2ヶ月間の糖の量が判断できるということになります。
空腹時血糖値は検査の2~3日前から食事の調整をすると反映されますが、HbA1c値の変化は期待できません。
血糖値とHbA1c値を両方検査する理由とHbA1c値だけが高くなるという理由はここに基づくものなのです。
糖尿病を発症した状況でHbA1c値が高く、そのまま放置してしまうと合併症の道をたどることはほぼ間違いありません。
HbA1c値は5.5%(NGSP値)より高いだけの人でも膵臓がインスリンを出す力は年齢に従って徐々に低下していくので糖尿病に移行する人も少なくありません。
また糖尿病に関わらずHbA1c値が高い原因に甲状腺機能亢進症、腎不全、異常ヘモグロビン症などが背景にあることがあります。
反対に低すぎて(5.0未満)良いものでもなく、異常ヘモグロビン症、鉄欠乏性貧血、脾臓機能亢進症、出血や癌などが隠れている場合があります。
数値の異常を指摘された場合には必ず精密検査を受け、糖尿病の可能性が疑われた場合には早期治療に取り組むことが大切です。
HbA1cの値を下げたいといっても、例えばある野菜だけ食べると低くなるといったような適合する食材などはありません。そもそもHbA1c値というのは高血糖になったことから発するもので、血糖のコントロールが主体となるからです。
高血糖を納豆やほうれん草、トマト、低GI食品などさまざまなものがありますが、食品はもとより食べ方の基本をおさえましょう。
おススメは食物繊維をたくさん摂ることです。食物繊維は消化吸収にとても多くのエネルギーを使い、急激な血糖の上昇を抑えられます。また野菜類を先に食べると満腹感が得られ、暴飲暴食を回避できます。
食事だけではなく運動の継続も重要なポイントとなります。
糖を残さずエネルギーにしていくには、筋肉に負担のかからない有酸素運動が効果的です。
散歩や軽いジョギングなどを毎日繰り返すことが有効とされます。
HbA1cが高くなる原因は2か月の間に外食が続いたとか、アルコールを飲む機会が多かったなどということが原因のことが少なくありませんので、まずは生活の見直しをしながら問題となることをクリアしていくことが重要となります。
高血糖に加担する要素にはストレスもありますから、体の管理には心の管理も必要だということも共に覚えておくといいですね。