境界型糖尿病と診断されたら食事や生活習慣を見直そう

境界型糖尿病は、食事や運動などのちょっとした生活習慣を見直すことで、糖尿病にはならない、しかも完治する病気です。糖尿病予備群ともいわれる境界型糖尿病のことをよく知り、改善しましょう。

境界型糖尿病とは?

糖尿病は良く知っていても、「境界型糖尿病」は聞きなれない方も多いようです。
これは、糖尿病とはっきり診断できない、しかし完全なる正常とも言えない中間に位置する糖尿病予備群ともされる病名です。

境界型糖尿病の特徴

境界型糖尿病とは、簡単に言えば糖尿病予備群としてのイエローカードのようなもので、このまま手立てを考えずに放置したら糖尿病になります。

しかし生活習慣などで改善を図ると完治するというものです。

膵臓のインスリンは通常、糖に見合った量を分泌し、糖の処理をきっちりと行うためのものですが、分泌不足や処理機能の低下が起きると糖尿病と診断されます。

しかし境界型糖尿病は、分泌と処理のどちらかは正常だが、どちらかが異常または両方の働きが悪く、異常基準値まで達しないがギリギリのラインで留まるといった範囲のものです。

境界型糖尿病に関して、しっかりと頭に置いておきたいことは、糖尿病は一度罹患してしまうと治りませんが、境界型糖尿病は完治するということです。

境界型糖尿病と診断される基準は?

境界型糖尿病の有無を調べる際は、空腹時血糖値に加えて「経口75gブドウ糖負荷試験」という糖分を飲用して時間の経過とともに通常の血糖値に戻る過程を見ていきます。

▪空腹時血糖値         = 110mg/dL以上、126mg/dL未満
▪ぶどう糖飲用後時間後の血糖値 = 140mg/dL以上、 200mg/dL未満

どちらかに当てはまるか、または両方に当てはまると境界型糖尿病

WHO(世界保険機構)の基準値と違って日本では境界型糖尿病をもっと細かく分類している部分があります。IGT(耐糖能異常)とIFT(空腹時血糖異常)です。

正常型・境界型・糖尿病型の血糖値とHbA1cの関係

糖尿病予備群として診断されるのを数値的に整理すると次のような状態の時になります。

境界型糖尿病は、HbA1c6.5%未満で、1) 空腹時血糖値が110~125mg/dL、2) 75gブドウ糖負荷後2時間の血糖値が140~199mg/dLのいずれかを満たしている方をいいます。
空腹時血糖が110~125 mg/dl、HbA1cが6.0~6.4%の方は、境界型糖尿病とされ、75gOGTTの検査が推奨されています。
空腹時血糖100~109 mg/dl、HbA1cが5.6~5.9%の方は、正常型=将来糖尿病を発症リスクが高いグループとされ、特に高血圧・脂質異常症・肥満などがある方は75gOGTTの検査をするのが望ましいとされています。
空腹時血糖が126mg/dl以上、HbA1cが6.5%以上の方は糖尿病と診断されます。

血糖値が境界型の方は、正常型の6~20倍も多く糖尿病を発症すると言われており、将来糖尿病を発症する確率が高いとされる状態です。

境界型糖尿病の症状は糖尿病と同じ?

糖尿病と違って境界型糖尿病は無症状です。

糖尿病の特徴的な症状は口が渇く、おしっこがたくさん出る、疲れやすいなどですが、血液内が高血糖となって細胞との浸透圧のバランスが崩れて起きる症状です。

これらは、糖尿病と診断された以降に病気が進んで出る症状とされています。
境界型糖尿病と診断された人は、すぐにはこの症状はなくとも、数年で糖尿病に進行すると言われています。

境界型糖尿病の症状はありませんが、ブドウ糖負荷2時間後の血糖値異常(IGT)に該当する人は、動脈硬化に移行しやすいと出ているため、動脈硬化に関する症状には警戒が必要です。

境界型糖尿病の原因4つ

糖尿病は高血糖が続くことで他の病気を引き起こすものですが、原因は1型糖尿病と2型糖尿病では内容が変わってきます。

1型は免疫異常などが関与して膵臓のβ細胞が破壊されて起こるインスリン分泌の低下、2型は体質な問題に生活習慣がプラスされて、インスリン量が普通どおりでもインスリンに対する反応が鈍くなって血糖値が下がりづらくなります。

境界型糖尿病は後者の2型糖尿病の予備軍とも言えます。
生活習慣の具体的な要因とは次の4つです。

過食

インスリンの分泌異常でもなく、感受性の異常でもなく一番の原因は過食です。
たくさん食べれば食べるほどインスリンの量は分泌されます。
処理される物質と処理する物質の量のバランスが崩れると高血糖が持続し、それだけ血管にも負担がかかり、膵臓にも過労を与えてしまうため、糖尿病、境界型糖尿病にとなってしまいます。

肥満

肥満は皮下脂肪と内臓脂肪に分類されますが、この内臓脂肪が糖尿病と境界型糖尿病に大きく関わってきます。

アデポサイトカインというホルモンにも似た物質(生理活性物質)があります。
本来は脂質代謝や糖代謝がスムーズに進めるような働きかけをする物質ですが、内臓脂肪が増えると分泌異常をおこします。

アデポサイトカインはインスリンの働きを妨害してしまい血糖が通常通りに処理されなくなるので、これでもかという具合にインスリンはどんどん分泌されることになります。
すると、膵臓は疲弊してしまい機能低下となってしまうのです。

喫煙

喫煙は食べ物でもないのに糖尿病に影響することを不思議に思う人もいると思われますが、これには2つの悪影響が考えられます。

一つはニコチンがインスリンの効果を効きにくくするということです。
インスリンは分泌されていてもそれを受け入れて血糖を下げるという機能を弱めてしまいます。(インスリン抵抗性の増強)

もう一つは交感神経に刺激を与えてカテコラミンという副腎髄質ホルモンを分泌させ、血糖値を上げます。

アルコール

アルコールをたくさん摂取することで脳にある視床下部で炎症反応が起きます。
同じくインスリンも視床下部に作用し糖代謝をコントロールしてもらっています。

アルコールの多量摂取で視床下部から他の組織へ、インスリンの効果を受けなさいと伝える伝達機能が阻害されてしまいます。したがって高血糖の状態が長くなるというわけです。

まだ遅くない!境界型糖尿病からの脱出方法

境界型糖尿病として糖尿病予備群だと診断されても、今後の自己管理と努力次第で完治が望めます。
一生、糖尿病で苦しむよりも、治癒の可能性のある期間に少しの努力をする方が楽ではないでしょうか。

境界型糖尿病の時の食事の仕方

食事の量を極端に減らさずに、食べ方の工夫をすることで、血糖値を急激に上昇させるのではなく、滑らかに血糖値が増えていくようになります。

・早食いを避け、ゆっくりよく噛んで食べる
・まとめ食いしない
・1日3食同じ時間に食べるようにする
・野菜中心のメニューにする
・揚げ物など油が多いものや甘いものは、たくさん摂取しない
・味付けは薄く
・アルコールは少量(ビールなら中1本)
・間食は避ける

境界型糖尿病の時の運動

食事制限しているから大丈夫というものではありません。
体のエネルギーは運動を通して筋肉部分で消費されます。

運動することによってインスリンの感受性が高まり、また肥満改善にもなり必須対策です。
毎日続けることが効果的なので、20~30分程度の運動をしましょう。
有酸素運動は体の代謝を良くしますので、脂肪が燃えやすい体質へと改善できるようになります。

禁煙

ニコチンがインスリンに悪影響なのは明確です。
インスリンの抵抗を高めるばかりではなく、それを介して他の臓器のホルモンがインスリンの分泌までも抑制するという負のサイクルを作り上げます。

インスリン投与の治療を受ける場合は、非喫煙者よりも量が多くなる傾向もあります。
喫煙にメリットはありません、禁煙に努めましょう。

ストレス

ストレスは自律神経を左右してしまい、インスリンの感受性を低くしてしまいます。
社会生活の中では切り離せないものですが、蓄積してメリットはないものですので、自分の解消方法を見つけるように努力しましょう。

隠れ糖尿病はこんな症状!気付かないうちが一番怖い?

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隠れ糖尿病とはどのような症状をいうのでしょうか?
糖尿病はいわば誰でもなりうる病気です。
最近、少し太り気味、けだるい、喉も乾きやすい、、、
もしかしたら自分も。。?食事、日頃の運動で予防できることがあるかもしれません。

糖尿病と食について管理栄養士が詳しく解説!

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糖尿病と診断されたけれど、いったいどのような食事をすれば良いの?悩んでしまうこともあるかと思います。こちらではそのような方に分かりやすく糖尿病と食についての献立のたて方や食事療法などを詳しくご説明致します。

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