2024年2月23日

糖尿病と高尿酸血症と意外な関わり!

糖尿病から尿酸血症になるという合併症ではありませんが、二つの病気を同時にかかえている人は少なくありません。高尿酸血症の知識を深めると同時に二つの病気にはどういった接点があるのか見てみましょう。

高尿酸血症とは

糖尿病の3大合併症(網膜症、腎症、神経障害)はよく知られていますが、最近ではそのほかに生活習慣病をベースに、合併しやすい病気がいくつか挙げられています。そのうちの一つが高尿酸血症というものです。
どちらかというと認知度は低い病名ですね。
では、この高尿酸血症とはどういった病気なのか見てみましょう。

高尿酸血症とはどんな病気?

血液中に尿酸という成分が基準値(7mg/dl)を超えて存在する状態のことです。
尿酸とは肝臓で分解されたプリン体の老廃物にあたります。
私たちの体は全て細胞から作られるものであって、その細胞の成分としてプリン体は重要なものです。プリン体は食べ物から摂取するものと体内で作られるものとがあり、比率として2対8程度になります。

通常尿酸は老廃物として汗や便、尿と一緒に排泄されるものなのですが、何らかの原因によって血液中に残ってしまい数値が上がってしまいます。
自覚症状はありませんが、他の大きな病気に発展するという問題があるために重要視されているものです。

高尿酸血症とは何が原因で起こるの?

体内で作られる尿酸の量と排泄される量は、バランスが保たれているものなのですが、その排泄機能の低下か、プリン体の産生量が多すぎるか、機能低下と産生量の増加の両方をもっている、この3つのうちどれかが原因となって生じるものです。

①尿酸排泄低下型:作られる尿酸は多くないが、排泄される量が少ないタイプ
②尿酸合成過剰型:作られる量が多すぎるが、排泄量が正常なタイプ
③混合型:作られる量も多すぎ、かつ排泄される量も少なすぎるタイプ

高尿酸血症を指摘されている人の90%は②のタイプであり、原因が日常生活から生じるものであるとされています。
その原因にあたるものとして、プリン体を多く含んだ食品の摂取、飲酒、肥満、ストレス、激しい運動などが挙げられます。

高尿酸血症と痛風の違いって?

高尿酸血症は、単に血液中の中に存在する尿酸の量が7mg/dlを超えた病名に対し、痛風はこれが原因となって痛風発作が起きた時の病名です。

尿酸が排泄されずに残ってしまうと結晶という塊になります。それが関節にたまり何かの原因でポロポロ剥がれ落ちることで、体内の白血球が外敵とみなし、闘い始めます。そのため、そこの関節では炎症が起きて激痛となって症状が現れます。これが痛風発作というものです。

糖尿病と高尿酸血症の関わり

高尿酸血症は理解できたとして、糖尿病とはいったいどんな関りがあるのでしょうか。
根本的な生活習慣が共通であることです。二つの疾患は違いますが、原因が同じ、ベースが同じなので二つの疾患を同時にかかえることが多くなるということです。

二つの病気はインスリンが橋渡しとなる

糖尿病になったら高尿酸血症になる、またはその反対という具合にお互いに合併するものではありませんが、インスリンとのかかわりがあります。

インスリンの働きに尿酸を排泄しやすくする機能があります。
糖尿病で単に高血糖になっている状況では、インスリンがたくさん出ますので尿酸が排泄されやすくなり、尿酸値が高くなりません。
しかしインスリンの抵抗性が高い人や(糖尿病予備軍)、糖尿病性腎症(重度の糖尿病)になってしまうと、尿酸を排泄する量が減ってしまい尿酸値が高くなります。

痛風発作は、尿酸値の変動によって起こりやすいと言われているため、血糖のコントロールが不安定な場合は、尿酸の変動も多いので、痛風発作が起きやすくなります。

糖尿病と高尿酸血症のダブル効果は?

糖尿病は、高血糖によって血管が傷つけられたり、血液の流れを悪くしたりすることで、動脈硬化を合併することが明らかにされています。高尿酸血症で尿酸が多くなると、それらが血管を傷つけるという直接的な悪さはしませんが、排泄されない尿酸が再吸収の段階で炎症を起こし、血管に悪影響を及ぼすと考えられています。
二つの疾患は動脈硬化、さらには高血圧から脳卒中、心臓疾患へとつながる大きなダブルリスクとなるわけです。

食事と運動で尿酸と血糖をコントロール

高尿酸血症を指摘されたなら、日常生活上ではどんなことに気を付けていかなければならないのでしょうか。

食生活

糖尿病に沿った食事メニューであれば問題が生じることは少ないと思われますが、これから食事に気をつけようという場合には、注意しなければならない条件があります。

● 自分の標準体重や活動量に伴ったカロリーを!
※標準体重=身長(m)×身長(m)×22 → 必要摂取カロリー=標準体重×25~30(運動量)

しかしカロリー制限と言って、ここで急激なダイエットや絶食を行うことは厳禁です。
体が飢餓状態を感じると二次的現象で尿酸を排泄させにくくなったり、プリン体が増えたりしてしまうからです。

● 積極的に野菜を摂る!
野菜は尿をアルカリ性に方向付けし、尿酸を溶けやすくさせ、尿路結石予防にも効果があります。

● プリン体を多く含んだ食品を摂り過ぎない!
肉類、青魚、魚卵などは控えめに。
ステーキなど肉類は肉汁にプリン体が集まっているので注意が必要です。

● アルコールは控える!
“プリン体ゼロ”にだまされないでください。確かに制限されていない通常の成分のアルコールよりはいいのですが、アルコールを摂取すること自体が尿酸を増やすことになります。
アルコールは他の食材に含まれるプリン体に対して分解を促してしまうため、尿酸が増えます。またアルコールが分解される時に作られる乳酸が、尿酸の排泄を妨害してしまうというわけです。

運動

カロリー制限や肥満改善に運動しなくてはという思いが増えますね。しかし運動にもポイントがあります。
心臓がバクバクする、息切れが激しくなるような過激な運動は、エネルギーを作り出す段階で筋肉に貯蔵されてある脂肪を使うので、尿酸が上昇してしまうことになります。
軽い運動を繰り返し行う有酸素運動を行うようにしましょう。

糖尿病腎症が怖い!糖尿病の腎機能の衰えを阻止しよう

https://blue-circle.jp/articles/262

糖尿病腎症は最終的には命にかかわります。高血糖と腎臓について知ることで高血糖の恐ろしさが理解できるはずです。糖尿病腎症、神経障害、網膜症という三大合併症の一つである糖尿病腎症の病態から症状までを理解して、腎機能の衰えを阻止しましょう

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