糖尿病患者さんとうつ病、その関係とは?

糖尿病患者さんとうつ病、その関係とは?

糖尿病患者さんの隠れた合併症にうつ病があるって知っていましたか? 目に見えない心の症状だからこそ知っておかなくてはいけない糖尿病とうつ病の関係と予防法の解説です。


糖尿病患者さんの合併症のうち、糖尿病性神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症は三大合併症として認知度が高いものです。しかし高血糖による血管の障害だけには留まらず、心の病気にも何らかのつながりがあるとされています。心の病気は目に見える検査結果などはないものなので、病気の特定にも、治癒までの時間も長くかかるものです。糖尿病患者さんとうつ病の関わりを知り、予防や対策に努めることも大切です。

糖尿病患者さんはうつ病になりやすい?その理由2つ

最近ではそれほど珍しい病気ではなくなったうつ病は10~15人に1人の割合で経験するといいます。なかでも糖尿病患者さんはうつ病になりやすいといわれ、患者さんの3割に「うつ症状」が見られ、「うつ病」と診断された人は1割というのが現状です。

精神的な疲労

糖尿病と診断されると癌などの衝撃とは違ったショックを受けると思います。
糖尿病の知識が豊富であれば今後の生活にどんな困難さが生じるかということで不安になり、病識がなければ食事療法や運動療法、またはインスリン管理などの指導のもとでお覚えていくことも実践していくことも大きな負担となるでしょう。

2型糖尿患者さんはどちらかというと食べることで楽しみを得ていた方が多く、糖尿病という診断名を受けてからすぐに食事制限が始まるわけですから、相当に落胆するはずです。

食事療法や運動療法を一生懸命頑張っているのに体重が落ちない、血糖のコントロールがつかないなど自分の頑張りに対して、目標としている結果がでないとなるとイラだちやストレスが増します。また責任感の強い性格ならば、自分を責めてしまうことも多々となるのではないでしょうか。

毎日の食生活に「これを食べると血糖が…」などと神経をピリピリさせることや、合併症にならないかという不安感と、隣り合わせの毎日に嫌気がさしたりすることもあると思います。
こうした葛藤や落胆、不安感の繰り返しで精神的な疲労を得てしまうことがうつ病につながる因子となります。

過剰なストレス

糖尿病患者さんは生活上、よりストレスを受けやすくなります。そのストレスがうつ病へつながるという説があります。
脳には視床下部という体の機能をコントロールする司令塔があります。ストレスが蓄積するとその視床下部に情報が流れ、視床下部から脳の下垂体という部位へホルモンを分泌しなさいという指令が発せられます。ここからホルモンとうつ病の悪循環がはじまります。
はっきりとした関連性は立証されていませんが、研究結果として少しずつ前進しているメカニズムです。

①ストレス

②脳の視床下部に情報が流れる

③視床下部から下垂体へ「ホルモンを分泌しなさい」と命令

④下垂体が副腎(腎臓の上に位置する)にホルモン分泌を命令

⑤副腎からコルチゾールが分泌

⑥コルチゾールが過剰分泌すると血糖値や血圧を上昇させ免疫力を低下させる

⑦高血糖が続くと脳のインスリン抵抗性を高めてしまう(脳がぶどう糖を吸収できない)

⑧神経伝達物質がうまく活動できなくなる、脳の海馬が萎縮する

⑨うつ病を発症しやすくなる

うつ病の予兆を知ろう

うつ病がどういった経路で発症するかということは明らかになっていませんが、脳の働きに何らかの支障が起きることによって生じるもの。またうつ病は心に病変をもたらすだけではなく、様々な病気に発展するということが怖さのひとつです。
うつ病はできるだけ早く発見することが重要となります。
うつ病の特徴的な症状をあげてみました。

体に現れる不調

▪食欲がわかない
▪甘い物を食べたくなり過食することが多くなる
▪眠れない、または何度も目が覚める
▪体が重い、だるい
▪疲れがとれない
▪頭痛、頭が重い
▪肩、背中、手足の関節が痛い
▪動悸がする
▪息苦しい

精神的にみられる不調

▪気持ちが沈みがち、朝が特に症状が重い
▪悲しい気持ちになる
▪以前は好きだった趣味などが楽しくない
▪罪悪感を感じることが多い
▪不安感でじっとしていられない
▪テレビや本を見ても面白くない
▪会話が楽しくない
▪集中力がなくなった
▪物事の判断がしづらくなった

外観に現れる不調

▪目の周り、口の周りに青白さが常時見られる
▪なんとなく首が前に曲がり気味である
▪女性ホルモンのバランスが崩れ生理不順、または女性のヒゲが濃くなる

うつ病から糖尿病にも影響はある

糖尿病患者うつ病になると糖尿病にも大きな悪影響を及ぼします。
意欲の低下が起きますので生活の質が低下します。食事のコントロールに無関心になったり、運動することを始めとして、活動的にふるまうといった行動が激減します。この二つだけでも血糖のコントロールがつかなくなります。
インスリン注射や内服薬など時間厳守とした治療にも従う意志がなくなり、薬剤でのコントロールも不可能となり、合併症を起こす方向に進んでしまうというわけです。

うつ病予防のポイントは「セロトニン」

うつ病にならないための予防薬はありません。ストレスをためない、毎日の生活にハリを持つことが大切ですが、漠然とし過ぎて正直難しいことです。そういった中で脳の伝達物質のひとつ「セロトニン」を増やすことが予防のひとつと言われます。セロトニンに注目した予防法をご紹介いたします。

食事

セロトニンを作り出す原料が「トリプトファン」という物質です。トリプトファンが多く含まれている肉類、チーズ、牛乳、納豆、豆乳などの豆製品を多く摂りましょう。そればかりに集中してしまっては効果がうすくなりますので、それらを吸収しやすくするため、合成しやすくするためにはバランスの良い食事も必要となります。
また、噛むという行為もリズム運動のひとつとしてセロトニン神経を活性化させますので、よく噛んで食べるようにしましょう。

リズミカルな運動

一定のリズムをもった運動を繰り返して行うとセロトニンが活性化されます。
難しい、過酷な運動ではなくスクワットでもかまいませんし、ウォーキング、水泳、フラダンス、ヨガ、サイクリングなどリズムを意識した運動が効果的となります。

日光

日光を浴びると交感神経もセロトニンの活動も活発になり、反動で夜にはそれが睡眠の質を上げます。しっかりとした睡眠がとれると、翌日にはセロトニン分泌が活性化するというようにプラスの循環が成立します。

コミュニケーション

家族がいる方は親子で夫婦間でまたは恋人同士で、お友達同士でもかまいませんのでたくさんおしゃべりやスキンシップを図りましょう。コミュニケーションやスキンシップはセロトニンを活性化させますし、ストレスに耐えやすい力をアップさせるといいます。糖尿病教室など糖尿病患者さんたちが集まってお話をする機会が多く見られますが、そういった機会を利用することはとても効果的となります。

血糖と一緒に気持ちのコントロールが大切

糖尿病とうつ病はつなげて考えにくいと思われます。また糖尿病患者さんのうつ病は周囲からも見逃されやすいケースとなります。
うつ病は治る病気です。早期に気が付いて治療にあたることが、血糖コントロールを維持することにもなります。日頃から食事療法だけではなく、心のコントロールも一緒に行うように心がけましょう。

この記事のライター

20年以上看護師として病院勤務していました。
少しでもお役に立てる情報をお伝えしたいと思っています。

関連するキーワード


糖尿病

関連する投稿


糖尿病患者に花粉症が多いのには理由があった!糖尿病と花粉症の関係

糖尿病患者に花粉症が多いのには理由があった!糖尿病と花粉症の関係

糖尿病患者さんへ、あなたは花粉症ですか?この時期になるとマスクをしている人がどっと増える気がします。家族が花粉症、友達が花粉症、周りに花粉症の人が多くいるのではないでしょうか?日本人に多いように感じる花粉症ですが、海外と比べると特徴があります。さらに、糖尿病との関連性も。。。


糖尿病食事レシピ【糖質オフ★鶏ささみのパン粉焼き】

糖尿病食事レシピ【糖質オフ★鶏ささみのパン粉焼き】

粉チーズでしっかり味がついているので、何もつけなくてもそのまま美味しい♪お弁当にもオススメです。


「糖質制限食」のキホン。ダイエットやメタボ解消に!

「糖質制限食」のキホン。ダイエットやメタボ解消に!

糖尿病患者さんの「血糖値コントロール」や、ダイエットの方法としてよく聞く「糖質制限」。わからないことも多いハズ。糖質制限食とは?という基本的なところから、実際どんなものを食べればよいのかをかんたんにまとめます!


糖尿病食事レシピ  【 簡単★卵巾着 】 

糖尿病食事レシピ  【 簡単★卵巾着 】 

油揚げに卵を入れて焼く、簡単おつまみレシピです♪お弁当にもオススメなのでお試しあれ!


糖尿病予防・改善に!毎日使える低糖質レシピ 豚肉編(2)

糖尿病予防・改善に!毎日使える低糖質レシピ 豚肉編(2)

糖尿病改善のため、自炊をしたいけど、毎日の食事を考えるのが大変…そんな時に使えるおいしいレシピをご紹介します!今回は豚肉編です。


最新の投稿


透析患者さんの食事。外食での工夫

透析患者さんの食事。外食での工夫

最近では健康を意識したレストランも、コンビニでのお弁当も増えてきました。 それでも透析患者さんにとっては適した食事とはいけません。 食事療法をきちんとするには食品の量や内容など細かく記録するなど手間がかかります。透析患者さんは量に注意しながら食べ方を工夫してみましょう!


人工透析とたばこ。もっとも注意しなければいけないことはコレ。

人工透析とたばこ。もっとも注意しなければいけないことはコレ。

人工透析治療を導入すると、生命予後はよくなりますが、 生活スタイルが大きく変わりますね。例えば、絶対に定期的に病院へ通わなければならなければなる、食事に気を付けなければいけなる、透析中心といっても過言ではない生活になります。今回は導入前は日常のように吸っていたタバコ、透析導入と共に何か危険となってくるのしょうか?


慢性腎臓病ってどんな病気?~糖尿病と腎臓病の関係~

慢性腎臓病ってどんな病気?~糖尿病と腎臓病の関係~

腎臓は障害を受けた場合、二度と回復することがないことをご存知でしたか? 予後良好への道は 透析や腎臓移植を選択するほかないという事になります。 そうなる前に私たちはどんな対策を取っておくべきなんでしょうか。


糖尿病について徹底解析、糖尿病の基本から未来治療まで!

糖尿病について徹底解析、糖尿病の基本から未来治療まで!

すでに日本では300万人を超えて発症している糖尿病、多くの人が知っている病名です。しかし詳しい内容は意外に知らない人が多いのではないでしょうか。ここでは糖尿病の基礎から、そして現代医療の内容までをご紹介いたします。


糖尿病でもおやつを食べよう!ストレス発散!

糖尿病でもおやつを食べよう!ストレス発散!

糖尿病というだけもストレスがたまるのに、おやつまで絶ってしまっては生活にハリがなくなりますね。そこで、糖尿病でも基本さえ知っていると無理に我慢する必要はありません。 おやつの食べ方のコツです。