2023年4月6日

高血圧の基本を知って、予防、対策、健康維持を!

高血圧はさまざまな病気のリスクとなります。健康診断で指摘された、あるいは普段から気にしているという方も多いと思いますが、詳しい内容や、服用している薬のどんな作用があるか知っていますか?高血圧についてもう一度見直してみましょう。

高齢になれば誰もが診断されるように思われている高血圧であり、他の病気よりもより多く気を使うのが血圧ではないでしょうか。

日本の国民の血圧が4mmHg下降すると脳血管疾患によって亡くなる方が10,000人、心筋梗塞が原因で亡くなる方が5,000人、救われると言われます。

それだけ多くの方が抱えてしまい、悩ませる病気のひとつです。良く周知されていることでも、意外に詳しくは理解されていないのかもしれません。知識を深めることは病気の予防や改善にもなりますので、高血圧について改めて見直してみましょう。

高血圧の診断は人それぞれに違いがある

高血圧は「圧」という文字が使われているように、血液に関連した圧力を示すものです。
血液とは人の生命を維持するために、酸素や栄養を脳や筋肉、細胞に至るまでのすべての部分に酸素や栄養分を運ぶ働きをします。

液体である血液が体の中を巡回するには定期的に動かす力が必要になりますが、その役目が心臓のポンプ作用にあたります。
心臓が血液を押し出すと、当然、血管の壁に圧力がかかります。この圧力を数字で表したものが血圧値となります。

血圧には「上の血圧」「下の血圧」という言葉が聞きなれていると思われますが、上の血圧は「収縮期血圧」、下の血圧とは「拡張期血圧」といいます。
収縮期血圧は心臓が縮み全身に血液を送り出すので、圧力が最も高くなります。反対に拡張期血圧は全身から戻って来る血液をためるため、心臓が膨らむので血管にかかる圧力は最も低くなります。

病院で測定された値を判断基準に、一般的には「収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上」が高血圧の域に入ると言われていましたが、年齢やすでに診断されている病気を抱えている場合などによっては、高血圧の診断も違ってきますし、高血圧になってからの目標数値も変わってきます。

糖尿病患者さんでは、糖尿病自体が血管の傷害を来たすものなので「125/75mmHg未満」と、他の合併症より厳しく設定されています。

高血圧の症状は自覚できると進行していることも…

高血圧の症状は、はっきりとしたものがないのが現状です。
一般的にめまい、頭痛、耳鳴り、肩こり、動悸などといわれますが、高血圧の方全員にこういった症状が出るとも限りません。
高血圧だと自覚している方は、肩こりも高血圧に結び付けて考えることができますが、高血圧でないと思っている方は、疲労や寝不足、ストレスなどから起こるものと判断しがちです。

血圧が急激に上昇すると、脳も対応しきれずに全身の循環障害を起こしてしまうため、めまいや頭痛、耳鳴りにつながります。
血管内の酸素や栄養分の運搬が滞ることで、筋肉も硬くなるため、肩や首のこりにつながります。

ほかにも胸痛や呼吸困難、体のむくみ、目の不調、尿量の変化などとなると、高血圧による合併症の兆候にあたるものも少なくありません。

高血圧と糖尿病はこんなところでつながっている

糖尿病が高血圧の引き金にもなる!その理由

高血糖になると血液はドロドロと濃くなりますが、これを細胞ができるだけ薄めようと働きかけ水分を増やします。その結果血液量が増え、心臓に負担がかかるので高血圧となってしまいます。

もう一つインスリン抵抗性が関わってきます。
糖尿病になるとインスリンの効きが悪くなるというインスリン抵抗性が高まります。すると反応が鈍いためインスリンはより多く分泌され、腎臓に悪影響を及ぼし、ナトリウムの排泄を阻止し、カルシウムも増えることになります。どちらも血管内で増えてしまうと血圧を上昇させることになってしまいます。

高血圧と糖尿病のダブルな悪効果とは

糖尿病はその病気自体よりも三大合併症(腎症、網膜症、神経障害)が怖い病気です。いずれも血管にダメージを起こしたり、神経の伝達を弱めたりすることが原因で起こりますが、高血圧が重なることでこの合併症に拍車がかかってしまうという現象が起きます。
また動脈硬化が進みやすくなるため、この3つの合併症以外にも心臓疾患、脳血管疾患などにつながりやすくなるというものです。

高血圧の薬はさまざまな方面から働きかける

高血圧の診断を受けると内服薬が処方されます。内服薬は高血圧症を治す効果ではなく、血圧を上げないようにコントロールすることで、他の病気への合併を防ぐことが目的とされます。
高血圧の薬にも様々な種類がありますが、血圧が上昇する原因を多方面からブロックしていくという作用になります。

▪カルシウム拮抗薬
血管の壁を作っている細胞がカルシウムイオンを取り入れることで収縮作用を起こし、血圧が上昇することになります。カルシウム拮抗薬はこのカルシウムが取り入れられる道を塞ぐことで血圧上昇を防ぎます。

▪ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
アンジオテンシンⅡという物質は腎臓が尿やナトリウムを排泄しようとする腎臓の働きを邪魔し、血液量を増やすため血圧を上げてしまいます。そこでこのアンジオテンシンⅡを作らせないようにブロックする働きをするのがARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)となります。

▪ACE阻害薬
アンジオテンシンⅡが作られる過程では、調味料的な存在の酵素が必要となります。ACE阻害薬はこの酵素を阻害することで、血圧の上昇を防ごうとするものです。

▪利尿薬
血管内に水分量が増えてしまうと、それだけ圧力を必要とするため血圧が上昇します。体の中の水分を排泄させるのは腎臓の役割なので、利尿薬は腎臓に働きかけて、よけいな水分をより多く排泄させようとするものです。

▪β遮断薬
ノルアドレナリンが分泌すると、心臓の筋肉細胞と手を組んで心臓をより多く動かそうとします。このノルアドレナリンが作用しないようにブロックすることで血圧の上昇を防ぐのがβ遮断薬になります。

高血圧は生活習慣の見直しが治療のひとつ

高血圧は完治するという病気ではないので、診断されると一生の友となって付き合っていかなくてはなりません。治療にあたっては、薬物療法によるコントロールはもちろんですが、薬以外の生活習慣の修正も治療のひとつとなります。

生活習慣の修正7つ

① 減塩
塩分は血液量を増やしてしまうので、1日に摂取する塩分を6gにおさえるようにしましょう。

② 野菜
食物繊維は血糖値を上げにくくし、脂肪の蓄積にブレーキをかけます。糖質や脂肪は血管に負担をかける原因にもなりますので、積極的に野菜を摂りましょう。 
食事の初めに食べると満腹感も得られより効果的となります。

③ 脂肪
コレステロールが体内に増えると肥満だけではなくて、血管内に脂のゴミを残すことになります。血管の負担を軽減し、血圧上昇を防ぎましょう。

④ 減量
肥満になることで血管系の働きに支障が出てきてしまいます。結果的に心臓への負担、血圧上昇、合併症などに進展しまうため、できるだけ標準体重を目標に食事や運動に気づかうことが良いでしょう。

⑤ 運動
運動によってエネルギーが消費されます。有酸素運動は内臓脂肪の減量に効果があります。
毎日続けられる運動を選ぶことも重要です。

⑥ 節酒
アルコールは全てが悪影響というわけではなく、ある一定量を境に善悪が分かれます。
その基準量がアルコールの種類で見ると、ビールは大瓶1本、日本酒は1合、焼酎70ml、ウイスキーは60mlなどとされます。

⑦ 禁煙
ニコチンは血圧を上昇させる働きがあります。高血圧に関わらずとも心臓に対しては大敵となるものです。

高血圧予防は、健康維持の基本!

高血圧の指摘を受けなくても予防を心がけた生活をすることは大切です。
肥満は高血圧だけではなく、広い範囲で病気のリスクとなりますので、肥満を避けるためにも、暴飲暴食を避けバランスの取れた規則正しい食事を基本としましょう。

塩分は大敵ですので、塩が凝縮された漬物や塩辛、麺類などのスープの飲み干しなどは避け、野菜やきのこは必要ですが、中でもナトリウムを排泄する効果のカリウムが多い野菜を選択すると良いと思われます。

次に体のエネルギーの燃焼に注目し、無酸素運動よりも有酸素運動を続けることが大切となります。有酸素運動は主に余分に蓄えられている脂肪や、内臓脂肪の減量に効果があります。目安としては1回20分~30分の軽い運動を、毎日が無理であれば週に3日程度が良いとされます。
また運動することでストレスの発散にもなります。ストレスは自律神経につながり、そこから血圧にもしっかり影響しますので、ストレスも溜めないことが高血圧予防となります。

血圧の値は体の不調を判断する目安ですが、感情やその時の体調でも大きく変動するものです。だからといって少しぐらい高いから大丈夫と放置すると、あとで大きな病気になって振りかぶるかもしれません。血圧を上げない方法を念頭に置きながら、良い生活習慣を続け、定期的に自身の血圧をチェックしていくことが健康を維持することになります。

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