2023年11月23日

肥満は糖尿病の要?肥満が関わる理由とは…

40歳を過ぎると急増するといわれる肥満。その肥満が糖尿病の原因の多くを占めます。いったいどんな関りがあるのでしょうか。肥満と糖尿病について詳しく解説いたします。

糖尿病の原因として必ずと言っていいほど取り上げられる「肥満」。
肥満がベースとなって多くの病気に発展することはわかっていても、糖尿病とはどういった関わりを持っているのか、詳しいことはわからないという方が多いのではないでしょうか。意味が分からなくして減量や治療にあたるのでは長続きしません。そこでしっかりと継続的な自己管理ができるように、肥満について知識を広げてみましょう。

肥満にもどういうタイプかが重要

「肥満」の基準をご存知でしょうか?
日本の肥満学会という部門で決められた基準があります。
BMI(Body Mass Index)という肥満指数で示す方式であり、計算式は次のようになります。

体重kg÷(身長m×身長m)= BMI

このBMI値が25以上になってしまうと肥満と判断されることになります。
しかしこのBMI値は「体格指数」であって、「体脂肪数」ではありません。
BMI値が多少多くても運動量も多くて筋肉が多い人、BMI値がそれほど高くないのに脂肪が多い人、病気につながる基準はここが重要です。

そこでもう一つ「体脂肪数」があり、これは自分の身体には体重の何%の脂肪がついているかの表示です。
さらに脂肪の量はこうして体脂肪数として、数字的で見ることができるようになりましたが、この脂肪がどこの部位に蓄積されているかが問題です。

皮膚の下に脂肪が付いている皮下脂肪と内臓に付いている内臓脂肪がありますが、糖尿病や高血圧を起こしやすいのは内臓脂肪の多い肥満となります。

肥満だと糖尿病になりやすい、そのわけは?

肥満が原因となって糖尿病をまねく理由はインスリンです。
通常、血糖値が上がった状態を処理するため、インスリンという膵臓から分泌されるホルモンが必要となりますが、糖尿病ではインスリンが不足、または生成されないことにより血糖値が下がらないという病気です。
こういった状況を作る原因が肥満には2つあります。

肥満の原因、食べすぎによって膵臓が疲れ果てる!

肥満の人は食事の量が多い、またはエネルギー量の多い食品を摂りやすいなどと、摂取エネルギーが多くなります。するとインシュリンがより多く分泌されることによって、膵臓への負担が増します。膵臓は毎日繰り返される重労働に疲れ、インスリンの分泌能力が減少してしまうことで糖尿病となります。

内臓脂肪が増えるとインスリンの受容機能が侵される!

インスリンは支障なく分泌されたとしても、それを受け止めて活用させる中間の働きが必要となります(インスリン受容体)。

通常は脂肪細胞から善玉のアディポサイトカイン(アディポネクチン)というホルモンに似た働きをする成分が発せられています。しかし肥満によって脂肪細胞も肥大すると、善玉が減少し悪玉のアディポサイトカイン(TNF-αやIL-6)が出現します。

善玉がインスリンの働きを高めるのに対し、悪玉は、インスリンの効きを弱めてしまいます。
そうなることで高血糖状態が持続し、糖尿病となるわけです。

そもそも肥満とは…

エネルギーの貯蓄には歴史あり!

現代では食べたいと思う時にいつでも食べられるという物が豊富な時代になりました。
しかし、私たちをここまで作り上げた歴史の中には飢えに耐えることが基盤となっていました。飢えに耐えて生き延びるという繰り返しが起きることで、体が必然と使わなかったエネルギーを脂肪として貯蓄するようになったといわれます。
私たちの脂肪は人類の飢餓があったからこそ生まれた機能なのです。

どうして肥満になる?

肥満は遺伝子によるものだと、実際に研究結果でも挙げられていますが、比率的には「遺伝:生活習慣=3:7」です。
遺伝そのものよりは、24時間中時間関係なく食べるスタイル、朝食抜きで夜間の摂取量にウェイトを置くスタイル、高脂肪、高塩分の食事内容、運動不足、精神的ストレスなどといった生活の質に問題が多いようです。

肥満であっても糖尿病にならない理由は?

日本人に比べて欧米人は体型から見ても肥満ではない人を探すことが大変です。
ですが糖尿病でない人は日本人よりも多いのが特徴です。

BMI値の肥満の基準も日本の25に対して、欧米では30です。こちらを見ても日本の判定が厳しくなっているのがお分かりいただけるでしょうが、これには膵臓の機能に差があり、インスリンの分泌量が少ないことが原因となっています。

また、日本人は肥満の程度が軽くても内臓脂肪がつきやすい体質であり、そこから悪玉のアディポサイトカインを発するため、糖尿病になりやすいといわれます。

肥満の防止対策にレプチン!

肥満の予防や改善には当然のごとく、食事制限や運動が挙げられますが、それにプラスするポイントをご紹介します。
最近では、善玉アディポサイトカインのひとつ「レプチン」を増やすことで肥満が改善されることがわかりました。
このレプチンの働きは、食欲を抑える、エネルギー消費を増やすなどに関与するといわれ、糖尿病や脂肪委縮症などの治療にも役立てられています。

レプチンを増やす方法

① 質の良い睡眠をとる
うとうとした浅い眠りで長時間寝たとしても効果がなく、ぐっすりと眠ることでレプチンが増え、脳の満腹中枢に刺激を与え食欲を抑制させます。

② よく噛んで食べる
早食いは太るという話はよく聞く話しですね。血液内にレプチンが登場するのは食事開始から20分後です。よく噛むことでレプチンの刺激を自覚でき、肥満や糖尿病の予防と消化しやすくすることで、胃もたれも防止できますので、よく噛んで食べることが3倍の効果となります。

③ タンパク質を摂る
レプチンは食べ物に含まれている成分ではありませんが、タンパク質をとることでレプチンが分泌されやすくなるといいます。ダイエット中でも、タンパク質は減らさないようにすることがベースです。しっかりと上質のたんぱく質を摂りながら、脳に良い刺激を与えましょう。

肥満も無理なダイエットも病気の基盤となる

肥満は糖尿病に関わるだけではなく、病気全般の基礎を作るといっても過言ではありません。無理なダイエットや偏った食事療法は脂肪を減らすのでなく、体の水分や筋肉、骨を減らすだけになってしまいます。
正しい効果的な減量やコントロールを行うことで、糖尿病の予防または、血糖コントロールに繋げていきましょう。

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