2023年11月17日

【人工透析】シャントの管理の重要性!

人工透析を行う際に必要となってくるシャントですが、自己管理がずさんでいるとすぐに閉塞、狭窄などとトラブルの原因になります。 透析を長く続けていくためにもシャントの管理は毎日確認しましょう。

透析とシャント

透析が必要になるとシャントが必要になります。

そもそもシャントとは何でしょうか?

シャントとは、腎不全がひどくなると水や老廃物が体にたまってしまうので、人工的に血液を浄化して水分を除去する治療、つまり血液透析が必要になります。血液透析を円滑に行っていくためには、血液の多くの量(1分間に150~200ml程度)を体外に出さなければならないので、シャントという特殊な血液回路を外科的に腕や手につくります。これがシャントの手術で、動脈と静脈を細い針と糸で細かく縫っていきます。

腎臓の働きと透析について・・・

腎不全の症状とシャントの作成について

上記の腎臓の機能が落ちることで食欲低下、吐き気、頭痛、むくみ、だるさ、貧血などと
様々な症状が現れます。
そして腎臓の濾過機能である糸球体は一度壊れると再生することがありません。
糸球体での濾過機能が低下し、腎不全という状態になれば透析という道から逃れることはできません。
血液透析を行うには、比較的たくさんの血液(1分間あたり100~250ml)をダイアライザーに送る必要があります。そのためには、血液の量の多い太い血管が必要になってきます。そこで「シャント」と呼ばれるものを作るのです。
一般的に手首近くの腕の橈骨動脈と呼ばれる動脈と橈側皮静脈と呼ばれる静脈をつなぎ合わせて太く血液の多い血管を作り、そこに針を刺して血液を取り出します。
シャントを作るのは難しい手術ではありませんが、このシャントと言われる血管は管理を怠ると潰れてしまったり、感染症につながる恐れがあります。

シャントとダイアライザーについて

血液をダイアライザーに送るには、血管に針を刺して血液を体外で循環させる必要があります。

そのため動脈と静脈をつなぎ合わせる手術を行い、静脈に多くの血液が流れるようにします(これを内シャントといいます)。
血管が細い透析患者さんの場合は、人工血管を使って動脈と静脈をつなぎ合わせることもあります。内シャントは透析療法をはじめる1~2ヵ月前に約1時間程度のかんたんな手術を行い、右か左手のどちらかの腕に作ります。

シャントは透析患者さんの大切な生命線となります。シャント側の腕も通常通りに使って大丈夫ですが、外傷や、またシャントに強い力がかからないように気を付ける必要があります。
袖口のキツめの服を着ないことや、血圧測定や採血をしないこと、また腕時計をしないなどの注意が必要となってきます。

緊急で血液透析(HD)を行う場合は、カテーテルを一時的に静脈へ留置する場合もあります。

シャントの管理は難しい?

長く透析を続けていく上で自身でのシャントの管理が非常に大事になってきます。
シャントの自己管理についていくつかのポイントを書いていきます。

●シャント音の確認・・・

シャントを作った部分に聴診器を当ててザーザーと血液の流れる音を確認しましょう。
シャントが狭窄や閉塞してしまったりすると、ヒューヒューと高い狭窄音や閉塞するとドッドツと聞こえる拍動音が聞こえるようになります。
音がいつもと違った場合はすぐに主治医の先生や透析スタッフに伝えて下さい。
シャント部に手を当てて、細かいスリル拍動も確認しましょう。

シャントの前に腎臓の働きと人工透析について軽くおさらいしましょう。

■腎臓の働き

①老廃物の排出・・・
腎臓は血液を濾過することで老廃物を尿として排出しています。
また、体にとって必要なものは99%再吸収してくれます。
これらの働きが悪くなると尿が作られなくなり老廃物や毒素が体に溜まり尿毒症の原因になります。

②血圧の調整。
腎臓ではナトリウムと水分の再吸収する量をコントロールすることで血圧を調整しています。
血圧が高いときは、ナトリウムと水分の再吸収する量を減少させることで血圧を下げ、血圧が低いときは、ナトリウムと水分の再吸収する量を増加させることで血圧を上げます。
また、腎臓はレニンというホルモンを分泌し、結果的に血圧の上昇させてくれる働きも備わっています。

③エリスロポエチン

腎臓ではエリスロポエチンというホルモンを分泌し赤血球を作る働きをしています。
腎臓の機能が落ちれば十分な赤血球を作ることができなくなり貧血になったりします。

④電解質のバランス

ナトリウムやカリウム、リンなど様々な電解質の吸収と再吸収を行い、身体のイオンバランスを保っています。

⑤ビタミンDを作っています・

カルシウムの吸収に大きくかかわってきます。

●シャントは清潔に!

シャントからの感染は稀なことではありません。シャントは常に清潔に保ち最近からの感染を予防しましょう。

●シャントからの出血への対処・・・・

透析中は血液が生体以外の異物に触れることによりすぐ固まってしまいます。
そこで血液の凝固を抑えるる抗凝固剤と言われるお薬を使います。そのため、透析後はしばらくの間血が止まりにくくなります。止血方法を覚えましょう。
針を刺した部分を5~10分指で押させ、確実に止血ができたか確認します。その際に、強く押さえすぎるとシャントが潰れてしまうので注意しましょう。
出血が止まらない場合は、透析スッタフに伝えてください。
ご自宅で出血してしまった場合も同様に出血部位を押させてください。

●シャントがある側の腕に負担をかけない・・・

シャント側の腕で血圧を測ったり腕時計をしたり、思い荷物をかけないようにしましょう。
これもシャントの閉塞につながります。

シャントの管理は決して難しいのではありませんが、常日ごろから観察することが大切です。
そして、シャントは平均的に10年程度は使えるとされています。閉塞する前にしっかりと自己管理し、シャントを大切に扱ってください。

透析中の食事管理。治療中でも毎日楽しく食べたい!

https://blue-circle.jp/articles/307

透析中の食事管理はとても大切です。特に、水分・たんぱく質の管理は重要で、毎食バランス、摂取量を考えなければなりません。さまざまな制限などにしばられるとストレスを感じてしまいとても大変な食事管理ですが、でも食事は楽しみたいですよね。そのためにもしっかりした知識を身につけてください。

人工透析の食事治療!正しい食べ物を選ぼう!

https://blue-circle.jp/articles/374

透析患者さん食事について。透析中の上手な食事の摂り方とは、ずばり高カロリーかつ低蛋白の食事です。慢性腎臓病、人工透析の食事治療の両方に言えることです。食事をするための工夫をここでは紹介していきたいと思います。

関連するタグ
関連する記事
最新記事