糖尿病と貧血のキーマンは腎臓だった!知っておきたい身体の事。

糖尿病と貧血のキーマンは腎臓だった!知っておきたい身体の事。

糖尿病になると合併症として挙げられる3つの病気についてはよく知られていますが、「貧血」に関わる実態に関しては多く知られていません。糖尿病を持っている人では密かに貧血が隠れていることが多いのも現状です。 糖尿病と貧血の関りを探ってみましょう。


貧血の症状は酸欠が原因!そしてそのルートは…

貧血ってどういうものですか?と質問されると、「血が足りなくなったこと?」「目の前が真っ暗になって倒れること?」などとイメージしやすい病気の一つです。
しかし、出血もしていないのに血が足りなくなる、疲れてもいないのに倒れることって不思議に感じますね。

こういった症状を特徴とする一般的な貧血は、鉄欠乏性貧血と呼ばれるものですが、貧血の症状を起こす原因は、実は「酸欠」なのです。
この酸決がどういったルートで引き起こされるのか見てみましょう。

貧血の二つの原因

私たちの血液中には赤血球という成分があります。
この赤血球にはヘモグロビンといって、多くの鉄分を含んでいるタンパク質からできています。
呼吸をすることで肺を通して空気中から酸素を吸収します。

その酸素は心臓に運ばれ血液の流れで全身に供給されます。この時に酸素を抱きかかえて運ぶことができるのが、赤血球の中のヘモグロビンしかありません。
そういったことから、鉄分が不足するとヘモグロビンが減少してしまうため、酸素を運べずに体の臓器が酸欠になってしまいます(鉄欠乏性貧血)。

そしてもう一つ、鉄不足ではなく赤血球自体が生成されない、または壊されるなどの要因で不足するための貧血があります。
赤血球は骨の中にある骨髄という部分で作られるものですが、全身を回って4か月が経過すると役割を果たした赤血球は脾臓という場所において破壊されます。
新しい赤血球が補充されない状況だと貧血は進むというわけです。

糖尿病の人が貧血を起こしやすい理由はホルモン!

糖尿病を発症していると貧血になりやすくなります。

① 糖尿病になると血液の中の血糖値が上がります。この糖質の影響で血液がドロドロ
↓ になり血管の柔軟性と質が落ちていきます。

② 血管が傷ついていくと、まずは細い血管から支障が見られます。
↓ 腎臓は細い血管の集合(糸球体)によって、ろ過作用がなされますので、
  腎臓への打撃は避けられなくなります。

③ 糸球体はじめ腎臓の機能が落ちていくと腎臓で作られ分泌されているエリスロポエ
↓ チンというホルモンが減少してしまいます。
  エリスロポエチンの役割は、骨髄に赤血球をはじめとした血液成分をつくるように
  働きかけることです。

④ エリスロポエチンの分泌が減ることで赤血球の生成に足止めを食ってしまい貧血となります。

腎性貧血が及ぼす影響は?

腎性貧血が続くと

鉄欠乏性貧血と同様に倦怠感や動悸などの症状が出てきますが、常時そういった状況の中では、慣れてしまう危険性があります。
毎日の中で変化や、ゆっくりとした腎疾患の進行に気が付かないという結果を生むことになります。

体が貧血状態になると心臓が酸素補給してカバーしようとするため、心臓に負担がかかるようになり、やがては腎臓だけではなく心疾患にまでつながる可能性があります。

腎性貧血チェックリスト

☑ 疲れやすくなる
☑ 動悸を感じたり、息切れが多くなる
☑ 全身がむくむようになる
☑ 頭が重い
☑ 顔色や爪の色が白っぽくなる
☑ 立ちくらみすることが多くなる
☑ 皮膚のかゆみが強まる

HbA1cの値が低めに出る

HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)は過去2ヶ月程度の間に、血糖値がどういった変動をしているかという糖尿病を判断する基準の一つです。
HbA1cとは、赤血球のヘモグロビンが血液を流れる中で、ぶどう糖と結合したもののことです。

ぶどう糖とヘモグロビンはゆっくりと時間をかけて結合して、赤血球の寿命が全うするまで、そのままの状態を維持しながら酸素を運んでいきます。
ぶどう糖が血液内に停滞する量が多ければ、(高血糖)HbA1cは増加していく仕組みになります。

腎性貧血によって、赤血球の数が少なくなったとしたら、当然ヘモグロビンも少なくなり結合しているぶどう糖の量も少なくなります。
数値的にはHbA1c値が低下し、血糖のコントロールがうまくいっているように思えますが、
糖尿病の進行具合としては悪化し、合併症が起きていることになります。

対処法は食事で鉄分補給?

腎性貧血の原因は腎機能の低下によるエリスロポエチンの分泌不足です。
対処や治療においては、エリスロポエチンの補給が一番となってきます。
赤血球を増加させる働きを持つ薬剤(赤血球造血刺激因子製剤)を一ヶ月に1~2回の投与。それに加えて鉄剤を補助的に投与することと食事療法が組み込まれます。

腎性貧血ではなく、ただ単に「貧血っぽい」など自覚して鉄剤をサプリメントで補給したとしても効果は薄く、それよりも鉄分が過剰に投与されることで、脾臓などの細胞に悪影響を与えることがありますので、自己判断ではなく医師の指導に基づいて鉄分の摂取量を調整していかなければなりません。

食事は血糖コントロールを主体としたバランスの良い食事をベースに献立していくといいのですが、腎臓の機能が低下している場合は、タンパク質やカリウムの制限をしていかなければなりません。また糖尿病を持っていると高血圧も抱えている人が少なくありません。
そういう人に対しては塩分制限も加わってきますので、自分だけの判断では決められない食事内容、栄養摂取となりますので、医師の指示のもと、または栄養士などの専門的な指導を受けながら治療にあたりましょう。

血糖コントロールだけではなく、どんな小さな症状でも敏感になって判断し、定期的な病院受診の際には医療関係者に相談することが早期発見となり改善の近道となります。

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