頑張る栄養くん!~ビタミン 葉酸~

見えないところでも栄養は頑張ってくれています!今回は葉酸編!

葉酸って何?

葉酸は、遺伝情報を担う核酸の合成を助けて新しい細胞を作るのを促すほか、赤血球の生成や動脈硬化予防の働きもあります。ほうれん草の葉から見つかったビタミンで、名前からはわかりにくいですが、ビタミンB1、B2などと同じ、「ビタミンB群」チームの一員です。
酸性やアルカリ性の水に溶けやすく、酸素、光、熱によって壊れやすい性質があります。腸内細菌により、体内でも一部合成されます。
不足すると発育不良、口内炎、貧血などが起こります。妊娠時に不足すると、胎児の神経に障害が出る危険が高まるため、妊娠を希望する女性にはとくに欠かせません。

細胞の合成や修復を助ける

核酸(DNA、RNA)は、遺伝情報通りに細胞を作るよう指示を出す物質です。葉酸はこの核酸の合成にかかわっているため、葉酸が不足すると正常な細胞が作られなくなります。成人では、欠乏症状は細胞分裂が活発な場所である粘膜の異常(口内炎、下痢など)となって表れます。成長の著しい胎児の場合、神経管閉塞障害の原因となるので、妊娠前・妊娠中の女性には、とくに必要とされるビタミンです。

赤血球の合成を促す

貧血というと、鉄が不足した「鉄欠乏性貧血」がよく知られていますが、貧血の原因は鉄不足だけではありません。鉄はヘモグロビンとして赤血球の中に取り込まれ、血流に乗って酸素を運んでいます。ですからヘモグロビンの入れ物となる赤血球の異常や不足も、貧血の原因となります。正常な数・形の赤血球を作り出すためには、葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6、たんぱく質などが必要になります。葉酸やビタミンB12の不足によって起こる貧血は、巨赤芽球性貧血(大球性貧血)といい、倦怠感やめまいなどの症状があります。

動脈硬化を予防する

葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12などが不足すると、血液中のホモシステインという物質が増えます。このような状態では動脈硬化になる危険が高まるといわれています。動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす原因になります。

欠乏症・過剰症は?

葉酸の欠乏症

葉酸は、健康な人の場合、腸内細菌によって合成されるため、通常の食事によって不足することはほとんどありません。しかし、必要量が増加する妊娠中の女性やお酒をよく飲む人、避妊薬のピルやアスピリン [※1]、抗ガン剤を使用している人には不足しがちな栄養素です。
葉酸が不足すると、赤血球をうまくつくることができず、貧血の原因となります。赤血球は、そのもととなる赤芽球が分裂してつくられます。この分裂がうまくいかないと、赤芽球の成熟だけが進んで大きくなり、死んでしまいます。赤芽球のサイズが大きくなり正常な赤血球の数は減るため、この貧血を巨赤芽球性貧血といいます。鉄が欠乏することによって起こる貧血と違い、酸素を運ぶ役割をしているヘモグロビンの量が足りていても貧血となるため、悪性貧血とも呼ばれます。この貧血は、体の成長に葉酸が使われ、必要量が多い成長期の子どもに特に多く起こります。
妊娠の初期に葉酸が不足した場合は、胎児の神経管閉塞障害の危険性が高まります。神経管閉塞障害が起こると、無脳症や二分脊椎という重度の先天性異常が起こります。
また、葉酸が不足すると血液中のホモシステインというアミノ酸の量が増え、動脈硬化の原因となります。
その他、腸管粘膜、口内、舌に炎症が起きやすくなることが知られています。

葉酸の過剰症

葉酸は、食品から摂取する場合には、過剰摂取によって健康に害が起こる心配はありません。
しかし、薬などによって葉酸を大量投与した場合には、神経障害や発熱、じんましん、皮膚炎などが起こる可能性があります。また、多量摂取が続くと亜鉛の吸収を阻害することもあるため、サプリメントなどで摂取する場合も、上限量を上回らないように注意する必要があります。

葉酸の効果

胎児の神経管閉鎖障害を予防する効果

葉酸は、妊娠を考えている女性や授乳中の女性にとって、特に重要な栄養素です。
妊娠すると、ごく初期の時点で胎児の神経管がつくられます。この神経管は、約28日で閉鎖し発達するにつれて脳や脊髄になる器官で、胎児のこの部分に障害があると奇形や下半身麻痺などが起こる、神経管閉鎖障害となります。
葉酸は細胞の新生に必要なビタミンで、妊娠してごく初期に十分に摂取することによって、神経管閉鎖障害のリスクを軽減することができます。また、口唇・口蓋裂といった障害や、先天性の心疾患の予防にも、妊娠期の葉酸の摂取が役立ちます。
ただし、妊娠の時期を正確に予測するのは難しいため、妊娠を考えている女性は妊娠がわかってから葉酸を多く摂取するのではなく、妊娠の可能性がある段階で葉酸が多く含まれている食品を意識して摂取することが大切です。
赤ちゃんが生まれてからも、乳幼児の発育に大きな影響を及ぼすため、授乳中も葉酸を積極的に摂取する必要があります。

成長を促進する効果

葉酸は、たんぱく質や核酸を合成するための約20種類の酵素が働くために必要な補酵素として、重要な役割を担っています。核酸とはDNAやRNAの総称で、細胞の核の中で遺伝情報を持ち、その情報通りにたんぱく質など体をつくる指令を出しています。DNAの合成が正常に行われることで、細胞はその情報を正確にコピーしながら分裂して増え、新陳代謝や成長を促すことができます。
葉酸は、特に細胞増殖が最も盛んに行われる胎児期や幼児期の、健全な発育のために重要な栄養素です。
成人にとっても、葉酸はたんぱく質の合成のために必要です。腸管や口腔内、舌などの粘膜は細胞の生まれ変わりが早く、葉酸が不足すると炎症が起きるなどすぐに影響が出ます。葉酸を摂取することによって、皮膚や粘膜を強く健康に保つことに役立ちます。

貧血を予防する効果

葉酸は、新しい赤血球をつくり出すために必要不可欠なビタミンです。
赤血球の寿命は約120日で、体内では新しい赤血球が常につくられています。葉酸は、ビタミンB12とともに補酵素として働き、赤血球のもととなる赤芽球の合成に関わっています。赤芽球が正常につくられないと、赤血球も正常につくられないため、葉酸は貧血の予防に効果があるといえます。

動脈硬化を予防する効果

葉酸は、動脈硬化の予防に重要な役割を果たしています。
葉酸は、体内でビタミンB6やビタミンB12とともに、ホモシステインというアミノ酸をメチオニンやシステインに変換します。葉酸が不足してこの働きが正常に行われなくなると、血液中のホモシステインの量が増え、血液凝固や血管内皮細胞の機能に影響し、血栓を形成して動脈硬化の原因となります。
また、ホモシステインは、加齢に伴って血液中の濃度が上昇するともいわれています。
脂質の摂りすぎなど、動脈硬化の他の要因と葉酸の不足が重なると、様々な慢性病のリスクが高まる可能性があるほか、脳卒中や心筋梗塞などの病気を引き起こすことがあるため、これらの予防のためにも葉酸を摂取することが大切です。

脳の機能を改善する効果

葉酸は、ホモシステイン血症を予防し、動脈硬化を予防することで血流を維持する働きがあります。
血液は体中の細胞に酸素と栄養を届けており、血流が停滞すると、認知症や聴力障害を引き起こすといわれています。葉酸はホモシステイン血症を予防し血流を維持することにより、認知症や聴力障害を予防する働きも報告されており、認知症予防や聴力維持に期待されています。

葉酸は食事やサプリメントで摂取できます

葉酸を多く含む食材
○肉類:レバー
○野菜類:菜の花、枝豆、モロヘイヤ、ほうれんそう、アスパラガスなど
○果実類:いちご、ライチ、アボカド、マンゴーなど
○その他:納豆、ナッツ類、卵黄、牛乳など

こんな方におすすめ
○妊娠中の方、妊娠を考えている方
○貧血でお悩みの方
○動脈硬化を予防したい方
○肌荒れが気になる方
○お酒をよく飲む方
○成長期のお子様

効率よく摂るには

葉酸は調理中に失われやすいのが玉にキズ。ゆでるとえだ豆では約20%が、ほうれん草では約60%が失われてしまいます。ですから生の青野菜ほど多く含まれてはいませんが、いちごやアボカドのように調理しないで食べられるものもおすすめです。

ほかのビタミンB群と組み合わせる
ビタミンB群は相互に補い合って働くため、ほかのビタミンB群の多い食品とともに摂ったほうが効果的です。

どれくらいとったらよいですか

 国民健康・栄養調査結果から日本人の平均した摂取状況は十分な量であることから、通常の食生活では摂取不足による欠乏の心配はほとんどありません。
 しかし、妊娠中の女性では、必要な量がふだんの2倍近くになることから不足しやすいため、積極的な摂取が望まれます。特に、若い女性が極端な食事制限によるダイエットで葉酸不足になっていた場合、初期の妊娠に気づかないで胎児へ悪影響を及ぼすことも心配されています。妊娠の可能性のある若い女性では、ダイエット時こそ緑黄色野菜などをきちんと食べ、食事の栄養バランスに気をつけることが大切です。
 一方、通常の食生活ではとり過ぎによる過剰症はみられません。ただし、薬やサプリメントを耐容上限量をこえて大量摂取した場合は、神経障害、発熱、じんましんなどの過剰症がおこるとの報告があります。適切なご利用方法をこころがけてください。

関連・参考記事

女性に必須なビタミン「葉酸」:ヘルスケア情報|eo健康

https://eonet.jp/health/healthcare/health09.html

最近注目を浴びている、女性に必要と言われている栄養素「葉酸」。葉酸の働きと効果についてご紹介します。

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